【上海発】IDC中国(霍錦潔総裁)は、5月20日、上海で「2015 ICT Directions」と題するイベントを開催した。基調講演のなかで霍総裁は、中国政府が主導する六つの政策がICT市場に与える影響について解説。政策によって、クラウド、モバイル、ソーシャル、ビッグデータを構成要素とする「第3のプラットフォーム」への移行が進み、「2020年には中国の第3のプラットフォーム市場規模が世界で最も大きくなる(6020億米ドル)」と予測した。(真鍋武)

 IDC中国が、中国のICT市場に影響をもたらすと予測した政策は、「七大基礎設施項目(7大インフラ設備プロジェクト)」「智慧城市(スマートシティ)」「中国製造2025(中国製造業10か年計画)」「互聯網+(インターネット+)」「一帯一路」「セキュリティと制御」の六つ。例えば、「七大基礎設施項目」では、2016年末までに7産業に対して10兆元の投資が行われ、このうち1000億元がICTに投資されるという。

 とくにITベンダーのビジネスに直結する政策は、IT活用をあらゆる産業に広げる「互聯網+」だ。中国政府は、同政策に関して総額400億元の基金を設立。3月に政策が発表されて以来、中国のITベンダーは、こぞって「互聯網+」をテーマとした戦略発表やイベントを行っている。

 IDC中国では、こうした政策に歩調を合わせた戦略を講じることで、ITベンダーは商機を拡大できると主張。しかし、外資系のITベンダーは、事情が異なりそうだ。政府主導プロジェクトは、国有企業や中国資本の大手企業が活動主体となる場合が多く、IT投資も中国のローカルベンダーに集中する可能性が高い。日系を含めた外資系ITベンダーが、プライムで受注することは簡単ではない。実際、六つの政策のうち、「セキュリティと制御」では、国家安全保障の観点から、国産IT製品の導入を推進している。最近では、IBMやOracle、EMCなど、外資系ベンダー依存からの脱却を進める「去IOE」というキーワードもトレンドになりつつある。

 日系を含んだ外資系ITベンダーが、政策によるIT投資の恩恵を受けるためには、ローカルベンダーとの協業が欠かせない。例えば、NEC(中国)では、注力分野のセキュリティ事業で、「協力関係にあるローカルのSIerなどに当社の製品や技術を納め、その協力企業が政府機関に納入する。当社は表には出ない」(日下清文総裁)という戦略をとっている。