【上海発】東芝ソリューション(TSOL、錦織弘信社長)は、中国現地法人の瀋陽東芝東軟信息系統(TNIS)について、東軟集団(Neusoft、劉積仁・董事長兼CEO)との合弁関係を解消した。東軟集団が保有するTNISの出資持分40%を買い取り、完全子会社化した。社名も5月29日付で東芝信息系統(瀋陽)へと変更している。今後は、中国の東芝グループ現地法人との連携強化を通じて事業規模の拡大を図る。その一環として、7月末に上海分公司を設立する。(上海支局 真鍋武)

東芝信息系統(瀋陽)
北川浩昭
董事長総経理
 TNISは、東芝ソリューション60%出資、東軟集団40%出資の資本金350万米ドルで、中国国内向けのITソリューション・サービス提供を目的として2011年7月に設立された。東芝ソリューションにとっては初の海外法人だ。

 設立当初、東芝ソリューションは、現地大手SIerとして東軟集団が中国全土に抱える約40か所の拠点とTNISを連携させ、自社商材を拡販することを狙っていた。しかし、実際はそうならなかった。東軟集団側は、東芝ソリューションが中国法人を設立することで、現地で獲得した案件の開発を請け負うことを狙っていたからだ。現・東芝信息系統(瀋陽)の北川浩昭・董事長総経理は、「お互いに売ってもらえる、仕事がもらえると思っていた。このすれ違いが(合弁解消の)根底にあった」と説明する。

 さらに、東芝グループの組織改革が大きく影響した。東芝は、今年4月、東芝ソリューションの一部事業を含むグループ内のICT関連部門を統合し、各社が利用する共通のICT基盤の整備と、IoT(Internet of Things)サービス・ソリューション事業の強化を目的とする「インダストリアルICTソリューション社」を新設している。中国側では、TNISが唯一のSI事業会社として、2014年から中国グループ各社の共通ICT基盤の整備を進めており、今後はIoT分野での連携強化も求められる。しかし、東芝グループ各社や、TNIS単独ビジネスの主要顧客である日系企業が集中しているのは、上海や北京といった主要都市だ。東北部の瀋陽に本社を置くTNISでは、営業効率が悪い。こうした背景から、TNISは上海分公司の設立を検討。柔軟で迅速な経営判断や、東芝グループとの連携強化に、東軟集団との合弁関係はむしろ障壁となる。そこで、昨年12月末に協議を開始し、今年の春節前には合弁解消の結論に達した。

 ただし、合弁解消後も、東芝ソリューションと東軟集団の関係が切れるわけではない。東軟集団は、現在でも東芝ソリューション最大のオフショア開発パートナーだ。また、北川・董事長総経理は、「単独では難しい中国の政府・企業の案件で、東軟集団に元請けとなってもらったり、当社が単独で獲得した案件の開発を依頼したりという関係は、合弁でなくてもできる。つまり、今回の関係解消は円満離婚だ」と説明する。

 東芝信息系統(瀋陽)は、7月末に上海分公司を設立し、今後は営業・技術部門を集中して、上海中心のビジネスに切り替える。中国の東芝グループ向け共通ICT基盤の構築、東芝グループ各社と連携したIoTビジネス、自社単独で行う日系企業を中心とするITソリューション・サービス提供を三本柱として、事業規模の拡大を図る。瀋陽本社は、人件費の安さを生かし、ヘルプデスクやデータセンターの運用、管理業務などを手がける。北川・董事長総経理は、「とくに今後3年間は、東芝グループ連携のIoTビジネスを伸ばす」と説明。富士通やNECとは異なり、原子力発電所や鉄道、医療機器など、IoTの接続対象となる“モノ”を手がけている東芝グループの強みを生かす。すでに、中国のグループ会社とは、センサを活用したエレベータの遠隔監視事業で連携した。現在、システム環境を構築中で、来年4月をめどに、まずは中国で導入済みのエレベータ約1万台の遠隔監視を開始する予定だ。東芝信息系統(瀋陽)の2017年度(17年12月期)売上高は20億円を目指す。