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U-22プログラミング・コンテスト2015 審査員が驚いた“小学生の逆襲” 完成度の高いプレゼンに新たな時代を予感

2015/10/15 19:04

週刊BCN 2015年10月12日vol.1599掲載

 「U-22プログラミング・コンテスト2015」(青野慶久実行委員長)の最終審査会と結果発表、表彰式が10月4日、東京・千代田区の秋葉原UDXにおいて開催された。36回目を迎えた今回は、個人から78作品、団体から97作品の応募があり、一次審査を通過して最終審査会に残ったのは16作品。最終審査会での審査ポイントは、「プロダクト(作品としての完成度)」「テクノロジー」「アイデア」の三つ。冒頭であいさつした青野実行委員長は「どの作品がいいのかを決めるのは、とても難しい。ぜひ気持ちのこもった発表をしてほしい」と発表者に語りかけた。

経済産業大臣賞を受賞した中馬慎之祐さん(成蹊小学校)。食物アレルギーをもつとされる5億人のために“誤食”回避の多言語対応アプリを開発した
 そのエールに応えたのが、それぞれ個人で応募した3人の小学生だ。ソフトウェアの完成度の高さに加え、プレゼンテーションの完成度も高く、身近なテーマからの発想に説得力があった。また、その堂々とした説明ぶりに、審査員はうならずにいられなかった。

 小学生だけではない。ほかの発表者も、プレゼン資料とプレゼン方法に工夫を凝らしていて、プレゼンベタな日本人エンジニアのイメージを覆すのに十分な迫力だった。ある審査員が、最終審査会後に「今年はおもしろかった」と語っていたが、プレゼンの内容に引き込まれた結果といえよう。

 結果発表後、筧 捷彦審査委員長は「感心した。日本の将来は明るい。3人の小学生、その他もすばらしい発表だった。なおかつ、その次を見据えた“やりたい”をもっている。その志で来年も再来年も10年後も、その道を究めてほしい」と総評を述べた。

 また、表彰式の冒頭で青野実行委員長が“小学生の逆襲”を強調。「小学生ということで甘く審査していいものかという事前の議論が審査員の間であったが、心配はまったく無用だった。小学生かどうかに関係なく、完成度が高かった」と、自戒を込めた感想を述べた。

 審査の結果、経済産業大臣賞に選ばれたのは、食物アレルギー情報を提供するアプリ「allergy」(中馬慎之祐さん、成蹊小学校)、キーワードから情報を得るキュレーションアプリ「Streeem」(清水大輝さん、国立米子工業高等専門学校)、3Dマルチシューティングゲーム「すまっとシューター」(チーム名:KBC射的屋、河原電子ビジネス専門学校)、大学生向け学習支援アプリ「Recture ~復習しやすい授業記録アプリ~」(藤坂祐史さん、筑波大学)の4作品。このほか、経済産業省商務情報政策局長賞に6作品、CSAJ会長賞に3作品、スポンサー企業賞に7作品が選ばれた。(畔上文昭)
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