世界で使用できるM2Mモバイル通信サービスを提供するボーダフォン・グローバル・エンタープライズ・ジャパン(阿久津茂郎・M2Mジャパンカントリーマネージャー)は、日本市場で製造業向けの通信サービスの提供を強化する。同社は、英ボーダフォン傘下で企業向けの移動体通信サービスを提供しており、自社グループのネットワークを世界26か国で展開している。また、55か国以上の現地通信事業者とパートナーシップを結び、ほとんどの主要国に対応した通信サービスをワンストップで提供できることを強みとしている。

阿久津茂郎
M2Mジャパンカントリーマネージャー
 日本法人は、ボーダフォンをすでに利用している海外企業の日本国内におけるサービス拠点としても機能しているが、日本で同社のM2M通信事業を統括する阿久津茂郎・M2Mジャパンカントリーマネージャーは、「海外に出ようとする企業向けのビジネスに力を入れている」と話し、海外既存顧客への対応以上に、日本企業のグローバル進出支援に力を入れていことをと強調している。

 日本には、すぐれた製品をつくる力をもつ製造業が集積しているが、技術的に高度な製品が多いだけに、サポートなどのサービス面を充実させなければ、海外の顧客には使いこなすことができず、価格の安い他国製品に流れてしまう恐れが強い。阿久津カントリーマネージャーは、「M2Mで新たなビジネスを生むことで、日本企業はもっと元気になることができる」と述べ、国境をまたぐ遠隔での保守・監視や、機器から収集したデータの分析サービスなどを提供し、モバイルネットワークを通じて日本企業の国際競争力強化を支援することが、同社のメインの事業であると説明する。

 従来国内では、富士通、日立製作所、東芝とパートナーシップを組み、各社がM2M向けアプリケーションとボーダフォンの通信サービスを組み合わせて提供していた。今年9月からは、新たなパートナーとしてITホールディングスグループのクオリカが加わり、産業機械用予防保全システム「CareQube」のグローバル対応を開始した。

 M2Mソリューションの展開では、単にネットワーク接続だけを用意しても成功しないことが多く、目的を明確化するとともに、機器、通信、アプリケーションのシステム全体を最適化するノウハウが求められる。このため、ボーダフォン・グローバル・エンタープライズ・ジャパンでは、現在のところ販売網の拡大よりも、M2Mを軸にしたビジネスモデルの確立に注力している。阿久津カントリーマネージャーは、「グローバルM2Mのエコシステムをともにつくっていけるパートナーを求めている」としており、M2M市場にコミットするSIerとの新たな協業も模索していく方針だ。(日高彰)