M2Mジャパンカントリーマネージャー
日本には、すぐれた製品をつくる力をもつ製造業が集積しているが、技術的に高度な製品が多いだけに、サポートなどのサービス面を充実させなければ、海外の顧客には使いこなすことができず、価格の安い他国製品に流れてしまう恐れが強い。阿久津カントリーマネージャーは、「M2Mで新たなビジネスを生むことで、日本企業はもっと元気になることができる」と述べ、国境をまたぐ遠隔での保守・監視や、機器から収集したデータの分析サービスなどを提供し、モバイルネットワークを通じて日本企業の国際競争力強化を支援することが、同社のメインの事業であると説明する。
従来国内では、富士通、日立製作所、東芝とパートナーシップを組み、各社がM2M向けアプリケーションとボーダフォンの通信サービスを組み合わせて提供していた。今年9月からは、新たなパートナーとしてITホールディングスグループのクオリカが加わり、産業機械用予防保全システム「CareQube」のグローバル対応を開始した。
M2Mソリューションの展開では、単にネットワーク接続だけを用意しても成功しないことが多く、目的を明確化するとともに、機器、通信、アプリケーションのシステム全体を最適化するノウハウが求められる。このため、ボーダフォン・グローバル・エンタープライズ・ジャパンでは、現在のところ販売網の拡大よりも、M2Mを軸にしたビジネスモデルの確立に注力している。阿久津カントリーマネージャーは、「グローバルM2Mのエコシステムをともにつくっていけるパートナーを求めている」としており、M2M市場にコミットするSIerとの新たな協業も模索していく方針だ。(日高彰)