サムスン電子は3月29日、中国市場でモバイル決済サービス「Samsung Pay」の提供を開始した。同社製品のユーザーは、銀聯カードを「Samsung Pay」に登録すれば、店頭の端末にかざすだけで、モバイル決済をすることができる。

 サムスン電子は、このところ中国市場でのスマートフォン販売に苦戦を強いられていた。調査会社IDC中国によると、2013年の同国スマートフォン出荷台数シェアでサムスン電子は1位だったが、15年にはシェアトップ5から外れた。新たな付加価値「Samsung Pay」の提供によって、ユーザーの満足度向上を図る。

 ただし、「Samsung Pay」が競合との大きな差異化要因になるとは考えにくい。すでにアップルは、「Apple Pay」の提供を2月に開始。ファーウェイも3月21日に中国銀聯との提携を発表しており、近日中に「Huawei Pay」の提供をスタートする見込みだ。15.0%のシェアで15年トップ(IDC調べ)の小米科技も、中国の第三者決済ライセンスを有する捷付睿通を買収しており、モバイル決済市場への参入は時間の問題とみられる。スマートフォンメーカーのモバイル決済対応は急速に進んでおり、近いうちにあたりまえのサービスになる可能性が高い。サムソン電子がユーザーの囲い込みを図るには、競合にない独自の付加価値が求められる。(真鍋 武)