KDDIウェブコミュニケーションズ(KDDIウェブ、山崎雅人社長)は、IT商材の卸販売とバックエンド処理を請け負う事業を本格的に立ち上げる。顧客ターゲット層は、会員組織といった「顧客基盤」をもつ企業で、KDDIウェブはその企業にIT商材を供給する“裏方”としてのビジネスを伸ばす。KDDIウェブは、クラウド・ホスティング事業で伸びてきた会社であることから、オンラインでの契約や課金、サポートなどのバックエンド処理を得意とする。今回の新規事業でもIT商材を卸販売した後のバックエンド処理を請け負うことで、継続して安定した収益を確保することを狙う。

 KDDIウェブ→顧客基盤をもつ企業→一般消費者(エンドユーザー)の商流であるため、「暮らし」や「生活」に密着したIT商材をメインに据える。まず最初に投入するのは「電話もネットも安心」(仮)サービスを予定しており、高齢者への振り込め詐欺や迷惑電話を遮断する装置、インターネットのワンクリック詐欺を防ぐソフトウェアを提供。主に高齢者の子ども世代を会員組織にもつ事業者向けの営業に力を入れる。

 例えば幼稚園や高齢者福祉施設、幼い子どもと一緒に家族写真を撮るような写真館には、高齢者になりつつある両親をもつ若い世代が多く集まる。こうした「顧客基盤をもつ事業者への販売チャネルを開拓していく」(東修平・カタチ想造事業本部本部長)方針だ。

東 修平本部長(左)と伊藤研吾ゼネラルマネージャー

 顧客基盤をもつ会社が、必ずしもIT商材に強いわけではなく、IT商材を開発しているベンダーが必ずしも販売力があるわけではない。そこで、KDDIウェブが顧客基盤をもつ会社が売りやすいように、IT商材を組み合わせるなどしてサービスを構築。商材の開発ベンダーにとってみれば「当社が新しい販売チャネルを創出するビジネスパートナー」(伊藤研吾・カタチ想造事業本部企画部ゼネラルマネージャー)となるポジションを獲得していきたいとしている。

 KDDIウェブは、もともと親会社のKDDIと共同でIT商材の販売を手がけてきた経緯がある。ただ、KDDIとの共同営業だけでは、通信回線の顧客層であるインターネットサービスプロバイダ(ISP)やケーブルテレビ会社など通信系の顧客に偏る傾向があった。このためKDDIウェブでは自前の営業力とクラウド・ホスティング事業で培ったITのバックエンド処理の強みを生かすかたちで、「暮らし」や「生活」をキーワードとした新規顧客の開拓に乗り出している。

 KDDIウェブでは向こう数年のうちに同新規事業を年間10億円規模の売上規模に育てていきたいとしている。(安藤章司)