Visual Studioのアドオンとして機能するクロスプラットフォーム開発ツール「Xamarin(ザマリン)」が注目を集めている。Xamarinを利用すると、Windowsアプリケーションの開発で標準的に用いられる開発言語のC#を利用して、iOS、Android、Macのアプリケーションを開発できるので、Windowsをターゲットに開発を行ってきたエンジニアが、使い慣れた言語やツールをそのまま用いてモバイルアプリケーションをつくり上げることができる。従来Xamarinは有償の開発ツールとして販売されていたが、今年2月に米マイクロソフトがXamarinの買収を発表し、無償化された。Visual Studioユーザーであればライセンスコストなしで利用できる環境が整備されたことで、Xamarinを利用して開発されるアプリケーションの増加が期待される。

田淵義人
ビジネスデベロップメント
マネージャー
 Xamarinの国内販売元・エクセルソフトのビジネスデベロップメントマネージャーで、Xamarinコミュニティエバンジェリストの田淵義人氏によれば、無償化前の時点でもXamarinは世界15000社以上での採用実績があり、日本国内でもWindowsプラットフォームでの開発を手がけるSIerなど、300社以上に採用されているという。従来のクロスプラットフォーム開発ツールで開発されたアプリケーションでは、ネイティブ開発されたものに比べてパフォーマンスに大きな差が生まれるケースが多かったが、Xamarinは通常のiOS/Androidアプリケーションと同じ形式のパッケージが生成され、ネイティブアプリと同じ速度で動作するため、ユーザーの使い勝手を損ねることもないという。

 Xamarinを利用した開発では、アプリケーションのロジック部分に関するコードをC#/.NETで記述し、Windows/iOS/Androidで共通化できる。基本的にUI部分は各プラットフォームごとに作成する必要があるが、「Xamarin.Forms」と呼ばれるライブラリを利用すると、制限はあるもののUIのコードも一定範囲で共通化が可能。また、iOSアプリケーションのビルドおよび署名にはアップルの提供するツールや証明書が必要になるため、Macの実機が最低1台必要になる。

 業務用のタブレット端末としてはiPadが普及しているが、最近ではWindowsタブレットのシェアも拡大しており、アプリケーションのマルチプラットフォーム対応が大きな課題となっている。田淵マネージャーによると、コンシューマ向けサービスのみならずエンタープライズ領域のアプリケーションでもXamarinの導入が増えているといい、業務システムの開発者にも生産性向上に有効なツールとなっている。

 無償化によりXamarin自体の販売は終了したが、エクセルソフトではXamarinに対応したサードパーティのUIキットなどの製品を取り扱うほか、Xamarin関連での事業の可能性を検討していく。また、田淵マネージャーは引き続きコミュニティなどを通じたXamarinの普及活動に参画するとしている。(日高 彰)