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マイツ上海法人 中国の流通税改革 ITの活用で適切に対応を
2016/06/30 19:12
週刊BCN 2016年06月27日vol.1634掲載
増値税とは、取引の各段階で税負担を添加する付加価値税のこと。日本の消費税に相当するが、形式自由の請求書保存方式ではなく、専用紙を専用の機械で発行するインボイス形式をとっているため、管理は複雑だ。売上金額だけが課税基準とされていた営業税と違って、増値税では売上増値税から仕入増値税を控除して税額を計算することになる。
山本真美子
公認会計士/税理士
日系企業では、実際に増値税への対応で問題が起きているという。例えば、発票の管理を財務担当者に任せきりにしていたある企業では、財務担当者が退職してしまい、発票が認証されないまま180日が経過して、仕入増値税を控除できず、結果として多くの増値税を納めなくてはならなくなってしまった。日本と比べて中国では、業務に関する情報を従業員個人が囲い込み、情報が共有されない傾向にあるため、十分な引継が行われない企業ではトラブルが多発しているのだ。
そこで山本氏が提案するのがITの活用だ。先の例では、「仕入増値税の発票の入手次期と発注番号とが紐づけてシステムに入力され、180日間近になっても認証されていない場合は自動でアラートが出るようにすれば、控除漏れは極力防げる」という。中国の日系企業ではIT専任者がいないケースが多く、日本と比べてシステム化が遅れている傾向にあるが、こうしたシステム構築を相談できるITベンダーは数多く存在する。
また、増値税発票の認証だけに限らず、納期や回収期限などの日付管理も、経営および会計上の重要な要素だ。監査や税務調査では、日付に関する資料を多く要求される。山本氏は、「まさにここでITの力が大きく発揮する。適切な日時や関連情報をシステム内に保持して、必要に応じたチェック機能が働けば、業務の効率化・適正化を実現できる」とITを活用した適切な管理体制の必要性を訴えている。
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