TIS(桑野徹社長)は、電力小売りの全面自由化に伴う一連のシステムビジネスの売り上げが、計画値に対して60%増と好調に推移している。既存の電力会社の自由化対応へのシステム投資や、新電力の新規投資を予想以上に多く獲得できたことが後押しした。同社は電力小売りの全面自由化に合わせて、新電力向け業務パッケージソフトの「エネLink(エネリンク)」を独自に開発しており、同製品を軸に受注を伸ばしている。

砂山広行
副部長
 同社では、エネLink関連事業で、当初は3か年で50億円の売り上げを見込んでいたが、グループ再編でインテックの電力・ガス関連事業部門を今年4月1日付でTISに統合して、営業規模が大きくなっていることや、2017年4月にはガスの全面自由化が控えていること、そして、同事業の初期の立ち上がりが好調であることから、「上方修正できる可能性は十分にある」(砂山広行・エネルギービジネス企画営業部副部長)と、強気だ。

 ただ、今の勢いが、このまま続くかどうかは不透明な部分を残している。新電力のシェアが一段と伸びるようなら、既存電力会社が負けじと追加のIT投資を行ったり、さらに多くの企業が新電力に本格参入したりするなどの期待ができる。逆に新電力の存在感が薄いままでは、競争原理が働かずにシステム投資も伸び悩む可能性がある。

 大都市圏の電力消費のピークは夏季に集中していることから、「電気代を節約したいと考える家庭や小売店などの小規模な事業所が、どれだけ新電力に移行するかで流れが変わってくる」(砂山副部長)と、この夏の期間で新電力がどこまで顧客を獲得できるかが、一つのバロメーターになると注視している。TISの足元のビジネス状況をみると、来年に自由化を控えるガス会社向けの商談が活発化しているなど、電力会社向けのビジネスは一段落した感も否定できない。

 新電力、ガス会社向けビジネスが成功するには、まず第一に価格が既存の電力、ガス会社より安くしなければならない。とはいえ、実際は仕入れ価格が安くはないため、目下のところ電力、ガス単体での価格競争力を前面に打ち出すのは難しい。

 そこでTISでは、デジタルマーケティングなどの技術を駆使し、「電力/ガス会社の競争力を高めるための仕組みづくり」を重点的に強化していく。エネLinkは、料金計算や顧客管理、需要と供給を一致させる需給管理といった新電力の基幹部分をまずはパッケージソフトとして製品化した。今後はマーケティング領域をはじめとする競争力を高め、顧客獲得につながる部分のパッケージ化を加速させる。こうした追加機能の開発を推進し、電力、ガス自由化に伴うシステムビジネスを伸ばしていく方針だ。(安藤章司)