アイティフォー(東川清社長)は、滞納管理システムとBPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)を組み合わせることで、自治体向けビジネスを伸ばしている。滞納管理システム「CARS(キャルス)」は、同社が長年開発を続けてきたパッケージソフトで、全国およそ30自治体に納入してきた実績をもつ。だが、システムだけでは実際の国民健康保険料や税、各種債権の収納率を高めるのに限界があることから、コンタクトセンターや住民宅に実際に訪問して支払いを求めるBPOを組み合わせることで収納率を高める施策を打ってきた。このシステムとBPOを“クルマの両輪”とする仕組みが自治体から評価され、受注に弾みをつけているのだ。

東川 清
社長
 直近の状況をみると滞納管理システムが全国で30、BPOが20の計約50自治体から受注している。東川清社長は、「今の引き合いの強さから判断して、向こう1年で滞納管理システムを10件増やすとともに、BPOの受注件数も倍増させていきたい」と意気込みを語る。システムのみ、あるいはBPOのみを採用する自治体が多いものの、自治体側はアイティフォーがシステムとBPOの両方をカバーしていることを見越したうえで、採用を決める傾向が強いとみている。「ゆくゆくは両方とも採用していただけるよう提案していく」(東川社長)ことで、自治体の求める収納率の向上につなげていく考え。

 自治体向けの「滞納管理」では、秋田情報センター(秋田県)やシンク(福岡県)がシェアをとっている。アイティフォーは、金融機関向けの債権管理システムではトップクラスのシェアを誇るものの、自治体向けでは後発組に属する。だが、2014年にコールセンターや訪問員を多く抱えるアイ・シー・アールをグループに迎え入れ、BPO事業を本格的に立ち上げてから自治体向けビジネスに勢いがついてきた。

 自治体から収納業務を受託するBPO会社は多いものの、高機能な滞納管理システムを開発する能力のある事業者は意外に少ないという。アイティフォーはこの点に着目し、システムとBPOを組み合わせる施策を打った。この6月までにはアイ・シー・アールの各拠点の業務システムをすべて最新のCARSに置き換え、システム面での競争力を大幅に高めている。

 アイティフォーの調べによれば、全国1700余りの自治体のうち、滞納管理をシステム化しているのは約500自治体にとどまっている。大規模な自治体はシステムを自前で運用する能力があるが、中小規模の自治体では難しい。そのため、クラウド方式で滞納管理システムを提供し、収納業務そのものもBPOで受託することで、自治体の負荷軽減に役立てる。

 現在、2018年3月期を最終年度とする中期経営計画を実行中で、連結売上高150億円を目指す。今期(17年3月期)の売上高は前年度比9.4%増の133億円の見込みであり、目標達成にはそこからさらに12.8%伸ばす必要がある。同社では、この成長の牽引役として自治体ビジネスを位置づけている。16年3月期の自治体関連を中心とする「公共システムセグメント」の売上高構成比は13.1%だったが、これを中期経営計画の最終年度には20%程度まで上げていく方針だ。(安藤章司)