【上海発】シーエーシー中国現地法人の希亜思(上海)信息技術(CAC上海、程斌総経理)は、中期経営目標として掲げる売上高20%成長の維持を目指して、新たな切り口での案件創出に力を注いでいる。売上高の大部分を占める金融業向けビジネスでは、SNSサービス「微信(WeChat)」上に構築するBtoC向けシステムを新たに展開。一方、近年注力してきた医薬業向けビジネスでは体制を強化、事業規模を拡大させる。(真鍋 武)

小峰邦裕
副総経理
 CAC上海では、中国の日系企業マーケットの先行き不透明感から、既存事業だけでは大きな成長が期待できないと判断し、近年、新規事業開発に向けた取り組みを推進。例えば、中国にはまだない海外の独特なソリューションをもちこんだり、香港や台湾、韓国といった中国本土の近隣地域の金融機関を開拓したりするビジネスを模索してきた。同社の小峰邦裕副総経理は、「とくに金融業向けビジネスでは、前年と同じ売り上げを計上するだけでも、従来とは異なる案件の創出が不可欠だ」と説明。実際、2016年は日系大手3行のIT投資が陰りをみせていることもあって、金融業向けを主業とする日系ITベンダーの多くが苦戦を強いられている状況だ。

 現在、CAC上海が金融業向けに新たに展開しているのは、「微信」上で稼働する業務システムの構築案件だ。中国では、企業による「微信」活用の機運が高まっており、CAC上海では、商品検索や紹介、契約、決済などの機能を提供するBtoCシステムの構築を主に展開。すでに、ローカルの保険会社から受注しており、小峰副総経理は、「盛り上がりをみせている」と好感触を明かす。一般的にローカル案件では、低価格でサービスを提供できる地場ベンダーが優位に立ちやすいが、同案件では、従業員数2万人を有する地場大手SIerを押さえてCAC上海が受注した。この理由について小峰副総経理は、「地場ベンダーは数が多いうえに、技術力も伸びているが、テスト品質やカスタマイズの柔軟性など、日系ベンダーの技術標準と比べてまだ劣っているところもある。中国企業のITへの品質要求のレベルも上がってきており、日系の優位性を生かせる案件は残されている」と語る。

 今後は、「微信」関連の案件を蓄積し、一定のノウハウがたまった段階で製品化に踏み切る構想だ。中国独特のニーズを吸収したうえで製品化するソリューションとなれば、日系企業の実績をベースに開発するよりも、よりローカル企業に受け入れられやすい。

 一方で、ここ数年力を注いできた医薬業向けビジネスは好調だ。日系を含む外資系企業を主なターゲットとしているが、「IT投資に意欲的で、新規契約が安定的に増えている」(小峰副総経理)という。中国の医薬市場は、急速な高齢化の進展、医療保険加入者の増加、外来・入院患者の増加などによって堅調に成長しており、調査会社シード・プランニングによると、2015年の中国上場医薬品企業127社の総売上高は前年度比8.5%増の7兆1757億円と、10年比で約2倍に拡大した。CAC上海の医薬業向けの専門部隊は、すでに15人程度の組織に発展しており、小峰副総経理は「中国の医薬市場は今後の伸びしろが大きい」とみて、さらに体制強化を図る意向を示している。同社の売上高構成比では、現在、金融業が約70%、医薬業が約20%、その他が約10%となっているが、今後数年間で医薬業の売上高を金融業と同規模に成長させる方針だ。