【ヤンゴン発】NTTデータ イントラマート(中山義人社長)は10月28日、ミャンマーの最大都市ヤンゴンで、パートナーイベントを開催した。ミャンマーでのイベント実施は今回が初めて。同社は、システム共通基盤「intra-mart」のグローバルビジネス拡大に向けてアジアの各国・地域で技術者の育成を行っており、ミャンマーではNTTデータミャンマー(西村弘二社長)と共同で推進している。今回のイベントでは、現地の企業や教育機関の視察を行ったほか、「intra-mart Partner's Meeting in Yangon」と題して、ミャンマーの現状を紹介するセミナー開催した。日本からSIerなどのパートナー約10社20人が参加した。

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都市化が進むヤンゴンの街並み

 視察では、まずNTTデータミャンマーを訪問。朝8時に始まる朝礼に参加した。同社では毎日、全スタッフが参加する10分程度の朝礼を実施し、日本語で現地スタッフが特定のテーマについて研究内容を発表する。この日の発表者は、日本の食文化としてラーメンについて紹介。言語力は日本語検定3級(3N)程度というが、話を聞いていると、問題なく理解できるレベルだった。ミャンマーでは、コンピュータ大学の卒業生のほとんどが日本語スキルをもたないまま入社するため、現地の日系IT企業はこのような言語教育に力を入れている。

 NTTデータミャンマーは、グループのグローバルデリバリモデルの一端を担う日本向けオフショア開発拠点として、2012年11月に営業を開始。現在、約220人の従業員を抱える。同社の西村弘二社長は、「スタッフは責任感が強く、真面目でチームワークが得意。さらに、納期が迫っている際は、残業もいとわず働いてくれる」と、高く評価している。ミャンマーは仏教国で日本人と価値観が近いため、日本式の働き方に対する理解を得やすいという。

 同社は、日本向けオフショア開発や、ミャンマーに関する日本のODA案件に携わるほか、トレーニングセンター「NTT DATA Myanmar Professional SE Academy」を開校し、社員・外部人材に向けた教育を行っている。intra-martに関しては、現在約33人の技術者を育成。今年1月には、技術者をNTTデータ イントラマート上海(大利秀幸総経理)に送り、1週間にわたる技術研修も行った。すでにintra-martを活用した社内システムを複数構築した経験をもち、現地の自動車メンテナンスサービス企業向けに修理・メンテナンス管理システムを導入した実績もある。
 
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日本語で行われるNTTデータミャンマーの朝礼

 その後、ヤンゴン情報技術大学(UIT)を訪問した。同校は、ミャンマーの政府高官や民間企業のCIO候補となる高度なIT人材の育成を行うコンピュータ研究教育機関・中核的研究拠点(COE=Center of Excellence)として、2012年12月3日に創立。学部教育5年、修士課程2年、博士課程3年の一貫教育を行っている。

 校内には、40台のPCを備えたラボが6つあるが、現時点で学生がPCを使うことができるのは週14時間と限られている。ミャンマーでは、PCがほとんど普及しておらず、これまでのコンピュータ大学では座学が中心。現在も、学生ひとりにつき1台のPCが用意されていない状況だ。そこで、UITでは、海外の大学やIT企業と提携し、学内に最新のIT機器を備えたラボを設けることで、教員や学生に対する実践的な技術教育を強化している。
 UITでは、17年に初めて卒業生を輩出することになるが、来年からは4か月間のインターンシップを導入する予定だ。Saw Sanda Aye学長は、「(ミャンマー国内だけでなく)海外にも学生を送る方針。現在は、富士通と話しを進めており、20人程度を受け入れてもらう予定だ」と意欲を示している。
 
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ヤンゴン情報技術大学のSaw Sanda Aye学長

 視察後のセミナーでは、現地の有識者による講演を行った。日本貿易振興機構(JETRO)ヤンゴン事務所の山岡寛和所長は、「ミャンマーの現状と日系企業の進出状況」と題して基調講演。ミャンマー中央統計局の統計で、2015年度の貿易額では、輸入の上位3位が一般・輸送機械、石油製品、卑金属・同製品であるのに対し、輸出は天然ガス、豆類、縫製品となっている状況などを紹介し、「消費財は海外からの輸入に依存している一方で、輸出は一次産品が中心と、国内産業の工業化が進んでいない」と指摘した。

 一方、日系企業の進出状況に関して、ミャンマー日本商工会議所(JCMM)の会員数が今年320社を突破したことを紹介。非会員も含めると、現在ミャンマーでは約800社が事業活動しているとみられ、「ここ数年で急増している。Jetroには毎月400人程度の日本からの訪問がある」と説明した。
 
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日本貿易振興機構ヤンゴン事務所の山岡寛和所長

 その後、人材紹介・派遣会社ジェイサットコンサルティングの森川晃統括マネージャーがミャンマーの人材事情を紹介したほか、岡山科学技術学園の井上伸一氏がミャンマーで展開しているカー・メカニック育成事業について講演。最後にNTTコミュニケーションズタイランド・ヤンゴン支店の渡辺潤平Country Managerが、現地の通信事業について解説した。同社は12年にオフィスを開設し、今年7月にはヤンゴン市内全域でインターネット接続サービスの提供を開始。今後は、データセンター(DC)サービスにも参入する方針だ。
 
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挨拶するNTTデータイントラマートの中山義人社長

 セミナー後には、参加者全員で懇親会を開催。今後のミャンマーのITリソースの活用や現地進出について意見を交わした。(上海支局 真鍋武)