豆蔵とInfoQ Japanは10月24日、ソフトウェア技術者と経営者を対象にしたITカンファレンス「QCon Tokyo 2016」を都内で開催した。QConは、エンタープライズIT技術者向けコミュニティサイト「InfoQ.com」が2007年に開始したイベント。09年よりInfoQの日本語サイトを豆蔵が運営していることから、同年より毎年東京でも開催されている。今年は技術者向けのトラックに加えて、新たに「ビジネステクノロジートラック」を用意し、技術志向の経営者の参加を募った。

Hakka Labs
創業者
Pete Soderling氏
 キーノートセッションではまず、データサイエンティストや技術者のコミュニティを運営する米Hakka LabsのPete Soderling氏が、エンジニアリングチームにおける「カルチャー(文化)」と「ストーリー(物語)」の重要性について講演。開発者集団においてよい文化とは何かを定義するのは難しく、また、仕事のなかではチームの文化を醸成すること自体が軽視される場合も少なくないが、Soderling氏は、メンバーがともに刺激し合い、成果を高めていくためには、自主性・影響力・責任といった文化を育んでいくことが不可欠と主張。技術のチームであっても、リーダーには「ストーリーテリング」の能力を備えることが求められると訴えた。

国立情報学研究所
佐藤一郎
教授
 続いて、国立情報学研究所の佐藤一郎・教授が、「ポスト・ムーア法則時代のコンピューティング」と題し、半導体の微細化が限界を迎えようとしているなか、ソフトウェア技術による性能改善が今後さらに重要になると説明。半導体回路においてはすでに、開発・製造難度の高まりのため、微細化による性能改善のメリットをコスト増のデメリットが上回っており、新しいハードウェアの登場で自動的にコストあたりの性能が改善する時代は終演すると考えられるという。佐藤教授は、コンピュータ科学を学び、計算資源をより効率的に活用するソフトウェアをつくれる技術者が今後評価されるとの見通しを示した。

豆蔵ホールディングス
荻原紀男
社長
 イベント冒頭で豆蔵ホールディングスの荻原紀男社長は、「日本の技術は決してシリコンバレーにも負けていないが、発信力とマーケティング力が弱い」と指摘。QConなどの活動を通じ、海外のすぐれた技術やアイデアを日本に伝え、日本のよいものを海外に発信していく考えを強調した。(日高 彰)