キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は、ソフト開発の自動化ビジネスで、ERPベンダーのクラウド基盤(PaaS)への対応を推進する。まずは、SAPの「SAP HANA Cloud Platform」に、キヤノンITSの独自のウェブアプリケーション開発自動化ツール「Web Performer(ウェブパフォーマ)」で開発したアプリを展開できるようにした。オラクルやマイクロソフトも同様のERP対応のPaaSを拡充させていることから、順次、他のERPベンダーのPaaSにも対応させていく方針を示している。

 ERPベンダーのPaaS対応アプリの開発にWeb Performerを活用するにあたり、既存のオンプレミス(客先設置)型のERPとの連携や整合性をどうとっていくのかが、大きな課題となっていた。


杉本達雄
課長
 そこで、キヤノンITSでは長年ERPを手がけているSIerとの協業を強化し、こうしたビジネスパートナーと連携してPaaS対応を推し進める。この11月には、パートナー連携の第一弾としてコベルコシステムとの協業を発表。同社はSAPに対応した業種テンプレート「HI-KORT」を開発するなどSAPに精通している。Web Performerで開発したアプリを「SAP HANA Cloud Platform」に展開し、既存システムと連携させる「基幹連携システム」の開発で協力することで、「ユーザーの柔軟性と俊敏性を兼ね備えた基幹業務システムの構築に役立たせる」(杉本達雄・ソリューション企画第二課課長)と話す。

 ERPを巡っては、ERPベンダー自身が従来のできあいのパッケージソフトの販売から、ミドルウェア群を充実させ、顧客のビジネス変革(ビジネス・トランスフォーメーション)を実現するプラットフォームの役割を担う方向へと変わりつつある。IoT/ビッグデータ、AIといった新しい要素も採り入れつつ、売り上げや利益を伸ばすシステムを「短期間ですばやくつくりたい」というニーズが拡大。高速開発が可能なWeb Performerへの引き合いも増加しており、開発自動化ツールは、過去10年余りのあいだで2回目の大きな波がきている」(同)と手応えを感じている。

 1回目は2008年のリーマン・ショックのときで、IT予算が削られるなか「コスト削減」のニーズとマッチ。今回は前回とは逆の「売り上げや利益を伸ばす」ために、開発自動化ツールをより積極的に活用するユーザーが増えているのだ。

 キヤノンITSでは毎月3~5回ほど東名阪でWeb Performerの体験セミナーを開催しているが「毎回、予約で満席の状態」(同)と、うれしい悲鳴を上げている。直近でWeb PerformerのビジネスパートナーはSIerを中心に全国約30社、ユーザー数は520社に達しており、今回のSAPのPaaSを手始めに、主要ERPベンダーのPaaSへの対応を進めていくことで、ビジネスに弾みをつける。こうした取り組みによって20年にはWeb Performer関連ビジネスで直近の約2倍に相当する年商50億円を目指す。(安藤章司)