作曲家の故・冨田勲氏の追悼特別公演「ドクター・コッペリウス」が、11月11日、12日の2日間にわたって都内で開催された。IT業界からは、クリプトン・フューチャー・メディア(クリプトン)が主催社の1社として参画。冨田氏の楽曲に合わせて、同社が開発したVOCALOID「初音ミク」が歌とダンスを披露した。

 冨田氏は、シンセサイザー演奏の先駆者としても有名だ。クリプトンの創業者である伊藤博之代表取締役は、「私がシンセサイザーに興味を持ち始めた高校生の頃に冨田先生の音楽に初めて触れた。とても未来的で、格好よいと感じた」と、憧れの存在であったと話す。

伊藤博之
代表取締役
 「冨田先生の1970年代の初期の作品を聴いても、古いという感じがまったくしない。当時、国内で前例のないシンセサイザーの先駆け『Moog(モーグ)シンセサイザー』で試行錯誤してつくられたであろう音色が楽曲のなかにたっぷりと含まれていて、作品が単なる作曲にとどまらず音響デザインになっているところがとても興味深い」と、伊藤代表取締役は評す。

 冨田氏との最初の共演が決まったのは、「イーハトーヴ交響曲」の歌手兼ダンサーとして初音ミクが2012年に起用されたときだった。 今回の公演「ドクター・コッペリウス」のなかでも、初音ミクが登場し、人間のバレリーナとともにダンスを踊っている。実在しない3Dキャラクターを舞台に登場させ、楽曲に合わせて歌い、ダンスを踊るシステムは、クリプトンが独自に開発してきたものだ。

 同システムのカギとなるのは、「他の演奏者やダンサーと同じように、指揮者の指揮に合わせて初音ミクが歌ったり、踊ったりするインタラクティブ(双方向性)にある」。クリプトンでは、今後も、3Dキャラクターと演奏、ダンスを融合させる技術の開発を進めていくことで、舞台における新しい表現手法の発展を目指していく。