インフォテリア(平野洋一郎社長)は、主力製品のデータ連携ツール「ASTERIA WARP」をバージョンアップし、中小企業や中小規模の組織向けの新製品「ASTERIA WARP "Core"」をラインアップに追加した。顧客層を拡大し、成長を加速させるべく、新たなマーケティング施策を積極的に打ち出している。

サブスクリプション型の料金体系でスモールスタート

 ASTERIA WARPは、国内EAI/ESBソフト市場で10年連続シェア1位(テクノ・システム・リサーチ調べ)を獲得している製品で、業種・業務を問わず、企業間、組織間で、さまざまなシステム間の接続とデータ変換をノンプログラミングで実現するというコンセプトを市場に訴求してきた。まず、中堅企業・中規模組織向けの製品をリリースし、その後、大企業・大規模組織向け製品「ASTERIA WARP Enterprise」もラインアップに加えたが、今回、中小企業・中小規模組織向けのCoreを追加したことで、さらに幅広い顧客層をカバーするラインアップができあがった。

森 一弥
ASTERIA事業本部
マーケティング部
シニアプロダクト
マネージャー
 森一弥・ASTERIA事業本部マーケティング部シニアプロダクトマネージャーは、「ASTERIAに関しては、中小企業はもちろん、大企業、中堅企業でも、より小規模な利用シーンでもっと手軽に低コストで使えるようにしてほしいという要望はかなり寄せられていた。例えばマーケティング部門でリードを集めるとか、ちょっとした業務からスモールスタートでASTERIAを気軽に使い始めたいというニーズは確実に高まっていた」と説明する。こうした背景があるため、Coreは基本機能に特化した仕様になり、料金体系もサブスクリプション型になった。

 また、テンプレートの機能や種類を拡充し、「ITに詳しくない人でも簡単に使えるような仕組みをさらに強化した」(森シニアプロダクトマネージャー)という。すでに約20のテンプレートをインフォテリア自身が開発・提供しているが、オンラインアップデートのたびに随時追加していく予定だ。将来的には、パートナーが開発したテンプレートも使えるようにしていく。クラウドインテグレータ系のベンダーもASTERIAのパートナーエコシステムに加わり始めており、幅広い種類のテンプレートを整備していきたい考えだ。

 なお、厳密には、中小企業・中小規模組織向けの新ラインアップとしてはCoreとCore+の2種類が用意されている。ファイル連携、データ変換、REST/Web API連携までは共通の機能だが、Core+のみ、データベース連携とメール送付の機能も備えている。

デザインスキルの教育にハッカソンを活用

エンジニア、非エンジニアを含め30人が参加したハッカソン(写真提供:インフォテリア)

穴沢悦子
カスタマーインティマシー
推進室長兼
AUG運営事務局長
 インフォテリアには、Coreのリリースに伴い、ユーザー企業の情報システム部門だけでなく、業務部門のエンドユーザーを含め、プログラミングスキルをもたない人に直接ASTERIAを活用してもらうケースを増やしていきたいという思惑もある。そのための施策として、11月25日には、ヴァル研究所、日本電子専門学校と合同で、ハッカソンを開催した。ヴァル研究所の乗り換え案内サービス「駅すぱあと」のWeb APIとCoreを活用して、新しいサービス活用のアイデアを実装するというコンセプトだ。当日は、エンジニア、非エンジニアを含め約30人が参加し、大きな盛り上がりをみせた。

 インフォテリアの穴沢悦子・カスタマーインティマシー推進室長兼AUG運営事務局長は、「ITのスキルではなく、どんなクラウドサービス、どんなデータを組み合わせて新しい価値を実現するかというデザインスキルを磨くための教育ツール的にハッカソンをやってみようと考えた。また、学生を中心としたASTERIAの認知度向上も図るべく、日本電子専門学校にもご協力いただいた」と説明する。

ハッカソンの審査委員長を務めたIncrementsプロダクトマネージャの
及川卓也氏(写真提供:インフォテリア)

 ハッカソンで最優秀賞を受賞したのは、「飲み会 “帰り” タイマー」というアイデアだった。飲み会参加者全員の終電時間を共有し、店にいられる残り時間を表示するサービスだ。店を出るべき時間の20分前にアラートも出してくれる。ハッカソンの審査委員長を務めたIncrementsプロダクトマネージャの及川卓也氏は、「ユーザーをグループ化して時間管理をするという発想は既存のサービスになかった。飲み会に限らず、打ち合わせやビジネスの現場などでも汎用性があると考えられる」と評価。インフォテリアの担当者は、「2時間と限られた時間の開発だったため、最初は苦戦するチームもあったが、当社のASTERIA事業部のメンバーや駅すぱあとの開発メンバーも各グループに加わり、すべてのチームがアイデアをシステム化できた」と、手応えを感じた様子だ。(本多和幸)