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リビングスタイル 3Dシミュレータで事業拡大 不動産業者や個人領域まで

2017/01/25 09:00

週刊BCN 2017年01月16日vol.1661掲載

 ウェブ3D(三次元)技術を使ったインテリアのレイアウトシミュレーションサービスを提供するリビングスタイル(井上俊宏代表取締役)は、大手インテリアブランドをもつショップ向けのシステム販売から不動産業者や個人ユーザー向けに事業領域を拡大する。不動産業者には、引越やリフォームに際し、同社のシステムを利用したインテリアのコーディネートを支援。個人ユーザーには、アプリケーションでクーポンなどを配布し、ショップへの送客で手数料を得ることを検討している。

井上俊宏
代表取締役
 リビングスタイルは2007年に設立。従来の3Dシミュレータのような複雑な操作を必要とせず、ショップの店員や来店客が部屋のインテリアコーディネートをパソコンやタブレット端末などのブラウザで簡単に利用することができる。現在、国内大手インテリアショップでは、大塚家具や島忠、unico(ウニコ)、無印良品など25社に導入している。

 ショップの店員が顧客の部屋の間取りとマッチする家具などを選択する際、このシミュレータを使いインテリアのイメージを3Dで示すことができる。井上代表取締役は「具体的なイメージができるため、当社システムを使った提案は1~2割は成約する」と、インテリアショップの顧客獲得で力を発揮していると語る。大塚家具に対しては、レノボ・ジャパンと連携し、リビングスタイルのAR(仮想現実)スマートフォン向けアプリをグーグルの空間認識技術「Tangoテクノロジー」に対応、ファブレット「Lenovo PHAB2 Pro」とともに提供し、大塚家具の外商業務で使われている。

 リビングスタイルのシミュレータの特徴は、従来の家具などの2Dのカタログ情報ではなく、独自に写真撮影したデータを組み合わせ、柔らかさなど感触までイメージできる色合いに調整し3Dデータ化していることだ。その数は国内最大の100万点に達するほか、「常時、最新のデータにアップデートしている」(井上代表取締役)という。ショップユーザーは、各社別にカスタマイズするためのブラウザのインターフェース開発など初期費用と、3Dデータの最新情報を得るための月額課金制で利用料を払っている。

 同社は今後、不動産会社と連携し一戸建てやマンションの新築、リフォームのタイミングで使えるシミュレータを提供し販売手数料を得る仕組みを検討している。16年3月には、三井不動産からグローバル・ブレインが運営するファンドを通じ出資を受け、この領域の事業拡大を目指している。

 また、同11月には、家具配置シミュレーションアプリ「iLMiO AR」をリリース。「AR技術でインテリアの“試着”ができる」(井上代表取締役)というアプリで、会員制のクーポンなどを発行しショップへの送客を図ることで、ショップから手数料を得ることを検討している。最近では、家庭向けだけでなく、オフィス向けの依頼が増えているため、新たな領域への進出が拡大しそうだ。(谷畑良胤)
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