中国最大のクラウドサービスが、ついに日本に上陸した。ソフトバンクとアリババグループの合弁会社であるSBクラウド(エリック・ガン代表取締役兼CEO)は昨年12月15日、「阿里雲(Alibaba Cloud)」の日本市場向けの提供を開始した。シンプル・セキュアを強みに拡販していく。(真鍋 武)

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二宮暢昭
営業企画部部長
 SBクラウドが日本国内に構築したデータセンター(DC)から提供する。アリババグループが中国、香港、米国、シンガポールなどに有するDCからも単一アカウントで利用することが可能だ。まずは、仮想サーバー「Elastic Compute Service(ECS)」、データベースサービス「ApsaraDB for RDS」、クラウドストレージ「Object Storage Service」を主要サービスとして販売していく。

 仮想サーバーサービスは、月額1200円からのパッケージ型で提供。必要なディスク容量や転送トラフィック量などに応じてパッケージを選択するだけで、詳細入力は不要となる。設定画面には、選択したサービスの合計料金が常に表示され、1ページで完結できる。設定終了後、仮想サーバーは最速60秒で起動する。SBクラウドの二宮暢昭・営業企画部部長は、「一つの画面上ですべてを完結できる。他社サービスでは、ユーザーがわかりづらい(操作感)ながらも使っているという実態がある。これを解消したい」と話す。

 さらに、DDoS攻撃からシステムを守るクラウドセキュリティサービス「Anti-DDoS」を、あらかじめパッケージ料金に組み込んで提供する。二宮部長は、「機器の購入や複雑な設定を行わずに、契約した時点でサービスが適用される。購入してから設定するまでの間に攻撃されることがなくなる」と説明。総務省の「通信利用動向調査」によれば、2015年末の国内クラウドサービスの利用状況で、「利用していないし、今後も利用する予定もない」の回答は30.0%。クラウドを利用していない理由について、38.8%は「情報漏えいなどセキュリティに不安がある」と回答している。「この層に対するアピールになればと考えている」と二宮部長は示す。

 販売戦略では、日中間でビジネスを展開する企業を主要ターゲットに想定している。「ストレートに表現すれば、トップの大手企業よりも、少し中小規模の企業を対象としたつくりになっている」(二宮部長)。ただし、「実際は、大企業からの問い合わせもかなりある。シンプルで使いやすい設計のため、そうでないクラウドを利用しているお客様が反応している。当社サービスは、講習を受けなくても、誰でも直感的に扱うことができる」という。

 「淘宝(Taobao)」「天猫(Tmall)」といったECプラットフォームを手がけるアリババグループのクラウドという利点も生かす。同社と連携し、ECサイト構築や中国のICP登録のサポート、翻訳、広告など、総合的なサービスとしても提供。二宮部長は、「このことは他社との大きな差異化ポイントだ」と自信をみせる。

 販売計画値や人員体制は非公表。二宮部長は、「市場を獲り合うのでなく、広げていく。クラウドを“雲”よりもっと近い“空気”のように、いつでもどこでも誰もが使える存在にしたい」と意欲を示した。