NECネッツエスアイ(和田雅夫社長)は、外部企業との協業によってシステム構築(SI)の上流工程の幅を広げている。その一例として挙げられるのがNECグループが力を入れているOSS(オープンソースソフト)のクラウド基盤「OpenStack」領域だ。同分野で専門的な技術をもつコンサルティング会社の日本仮想化技術に自社の技術者を送り込み、「上流工程のコンサルティングのノウハウと、当社のクラウド基盤技術の融合」(NECネッツエスアイの中村雄二・プラットフォームソリューション部プロジェクト担当課長)に、この1年かけて取り組んできた。

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中村雄二
プロジェクト担当課長

 日本仮想化技術は10人規模のコンサルティング集団だが、OpenStackをはじめとする仮想化技術に関する豊富な知見をもっている。NECネッツエスアイは、SIの力量はあるものの最先端の技術を常にキャッチアップしていくためには、自社だけでは限界があると判断。日本仮想化技術のような専門家集団に、自社の若手技術者を四半期に1人ずつ交代で送り込んで、コンサルティングのノウハウの吸収に努めている。一方、日本仮想化技術としては、コンサルティングサービスを提供したあとの実装フェーズをしっかり引き継いでくれるSIerを求めていたことから協業が成立した経緯がある。

 さらに、日本仮想化技術とデータセンター(DC)事業者のブロードバンドタワーと共同で開設した「OpenStack共同検証ラボ」を活用することで、「顧客のOpenStackに対する要求にきめ細やかに対応」(同)してきた。OSSのOpenStackは、さまざまなディストリビュータから提供されており、顧客によっては特定のディストリビュータやバージョンでの動作確認を必要とする場合がある。NEC本体では対応しきれないきめ細かなサービスをNECネッツエスアイと日本仮想化技術、ブロードバンドタワーの3社協業で実現する枠組みを構築。

 この1年間を振り返ると、大手通信キャリアからソフトウェア開発ベンダーに至るまで多くのユーザーが共同検証ラボを活用し、NECネッツエスアイのOpenStack事業の活性化につなげてきた。NECネッツエスアイでは、2016年から3年間の累計で20億円規模をOpenStack関連事業で売り上げる計画を立てており、今後も上流工程やコンサルティング、先端技術の研究開発(R&D)の領域での協業に力を入れていく方針だ。

 SIerは顧客の課題解決を目的として、顧客が求めるものを重視するあまり、先端技術のR&Dは、後追いになってしまう傾向がある。こうしたSIerの“弱点”を補完する狙いも含めて、NECネッツエスアイでは専門的な知見をもつ企業との協業を引き続き活発化していくものとみられる。(安藤章司)