情報サービス産業協会(JISA、横塚裕志会長)は、新しい市場を創り出していく取り組みの一環として「スポーツを進化させるICT(スポーツ×IT)」と題した説明会を2月16日に開催した。2020年の東京五輪を控えてスポーツへの関心が高まっている今、情報サービス業界にも大きなビジネスチャンスがあるとし、「ITでスポーツ分野におけるビジネスを一段と活性化する」(JISAの原孝副会長=リンクレア代表取締役会長)会員各社の活動を披露した。

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JISAの原孝副会長=リンクレア代表取締役会長

 「スポーツ×IT」では、まず野村総合研究所(NRI)ICT・メディア産業コンサルティング部の滑健作氏が登壇し、「プロスポーツのビジネスでは必ずしも成績上位のチームの集客力が高いとは限らない」と、ファンとの関係づくりをしっかり行えば、上位成績チーム以外でもビジネスを活性化できると話した。
 
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NRIの滑健作氏

 続いて、業界に先駆けてスポーツ分野における“ファンビジネス”に取り組んできた日立ソリューションズの藤原英哉・サービスインテグレーション部主任技師は、「スポーツ観戦などでの“感動”が持続するのは72時間。この限られた時間にどれだけファンにアプローチできるかで、その後の収益に差が出てくる」と指摘した。同社はファンビジネスに特化したCRM(顧客管理)システムを独自に開発しており、この仕組みを使うことで限られた時間内により多くのファンと接点を持ち、次のアクションに誘導していくことでプロスポーツにおけるビジネス活性化につなげている。
 
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日立ソリューションズの藤原英哉主任技師

 また、新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)は、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)向けに年間入場者数の予測モデルをAIで開発したと発表。各種データをもとに機械学習のエンジンを使うことで、誤差わずか0.5%程度の高い精度で年間入場者数を予測することに成功した。これによって「集客率が最も高まるよう試合日程を組むための定量的な指標が得られるようになる」(システム研究開発センターの赤塚慎平氏)と話している。
 
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NSSOLの赤塚慎平氏

 シーエーシー(CAC)は、プロスポーツではないが、障害者向けのスポーツ「ボッチャ」(パラリンピック正式種目)のボールを自動判定する仕組みを独自に開発。ボッチャは、ジャックボール(目標球)と呼ばれる白いボールに、赤・青のそれぞれ6球ずつのボールを投げたり、転がしたり、他のボールに当てたりして、いかに近づけるかを競う競技で、CACではスマートフォンやタブレットを使って目標球との距離を自動計測する仕組み「ボッチャメジャー」を開発した。
 
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CACが開発したAndroidアプリ「ボッチャメジャー」による計測イメージ

 現時点ではスマホやタブレットのカメラによる光学的な測定だが、将来的には距離の検出精度を高めるために機械学習を利用したり、あるいは「専用機器によるセンサーや超音波などを使ったより精度の高い計測を実現できないか検討を進めていく」(CACのAI&ロボティクス部の久米好規氏)と今後も改善を続けていく予定だ。
 
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CACの久米好規氏