企業向けシステムソリューションを提供するコムチュア(向浩一会長CEO)は、最新のIT基盤であるクラウドコンピューティング、人工知能(AI)、IoT(Internet of Things)を主軸にした独自サービスを拡充している。2016年4月はアパレル業界向けソフト開発のジェイモードエンタープライズを買収。来年度(18年3月期)は、Amazon Web Services(AWS)を利用した新たなサービスを予定するなど、事業領域を拡大中だ。「長期目標として、24年3月期に売上高1000億円を目指す(17年3月期は130億円を予想)」という向会長CEOに成長戦略を聞いた。

つなぐ技術を磨く

 コムチュアの主力は、グループウェア、ERP(基幹業務システム)、ウェブ、ネットワークの各ソリューション4事業。次の成長に向けては、これに加え、AWSやセールスフォース・ドットコム、マイクロソフトのMicrosoft Azureのクラウド基盤や、センサ・モバイルデバイスを関連づけたIoT、ビッグデータの解析(アナリティクス)など、最新のトレンド技術や基盤を使い、企業ニーズに合ったソリューションを強化している。

 同社の取引先は、国内大手企業や自治体などを合わせ631社(17年3月現在)。本田技研工業をはじめとする製造、金融、証券、生保、商社、小売り、自治体などと業種・業態に偏らず幅広い層の大手企業・団体を支援している。

 これら顧客の要望に応えるため、ここ数年は、「つなぐ技術を磨いてきた」と向会長CEO。企業の要求が既存事業にとどまらず、新しいビジネスモデルを構築するための提案を求められるケースが増えてきたためだ。既存のIT資産を有効活用し、新しい技術を取り入れたシステムを構築するため、物理システムやソフトウェア、クラウドなどを「つなぐ」部分の技術力を高めてきているという。
 
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クラウド利用のテンプレ提供

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向 浩一
会長CEO

 1985年に向会長CEOが創業してから07年にJASDAC上場(13年からは東証一部)するまでの間は、バブル崩壊の不況があり、「得意技がないと生き残れない」(向会長CEO)と、プロダクト販売やシステム構築といったフロービジネスに加え、導入企業への保守・運用サービスやクラウド提供などのストックビジネスを拡大してきた。同社では「連鎖型収益モデル」と呼んでいるが、フローとストックの比率が現在、50対50の水準にあり、安定した経営基盤を築いた。 現在、とくに注力している分野は、クラウドを利用したシステム開発だ。日本の大手企業の多くが、オンプレミスとパブリックのクラウド環境の両方を使うハイブリッド型を指向している。こうしたなかで、AWSなどのグローバルでシェアの高いクラウド環境を使ったサービスを各種展開している。

 同社はクラウド基盤として「コムチュア・コラボレーション・クラウド」を提供している。グループウェアやERP、業種別ソリューション、あるいはAWSやセールスフォース・ドットコム間などをクラウド間で「つなぐ」基盤を用意。「単純につなげるだけでなく、業種・業態にあったテンプレートを用意したり、企業別にカスタマイズする」(向会長CEO)と、拡張性の高さが売りだ。

 セールスフォース・ドットコム関連では、「ライセンス販売から導入構築、カスタマイズ、サポートまで、ワンストップで提供している」(向会長CEO)と、販売代理店や不動産、コールセンター、人材派遣などの業種向けソリューションを用意するとともに、IBM Notes/DominoやSAPの基幹システム、同社独自のアプリケーションを連携して使えるようにしている。

AI使った販売予測も

 今年度は、「AWSサービス事業」を立ち上げる計画だ。現在も、AWS上のアプリ開発やSAP HANAなどとの連携サービス、既存環境からAWS環境への移行、総合監視や運用サービスなどを提供しているが、「大手企業では、AWSを使った業務領域が広範になっている。AWSを使う大手企業に対する、もっと網羅的なサービスを展開する」(向会長CEO)と、詳細は不明だが、次の柱になる事業展開を示唆している。

 昨年買収したジェイモードエンタープライズは、アパレル業界向けソフトを開発しているが、最近だと洋服や靴などの製品にセンサを埋め込み、そこから発信するデータを使う在庫・販売管理などを手がけている。今後は、気象情報などのデータと連携させるなど、「IBM Watson」を使って販売予測をするといった新たな展開を計画しているという。

 向会長CEOは、「新分野の取り組みを軸として、毎年2ケタ成長を実現するための土台づくりをするため、『高付加価値戦略』として投資を継続的に行う」と、従業員一人当たりの売り上げを毎年5%上げ、その分、労務費も3%アップする。投資の1%は成長戦略へと割り振る。「瞬間風速でなく、継続的に伸ばすため、同業他社とのコラボレーションやM&Aも行う」(同)方針だ。(谷畑良胤)