SAPジャパン(福田譲社長)は3月2日、都内で2016年の事業展開と17年の戦略に関する説明会を開いた。福田社長は、「16年はグローバル全体で堅調な1年だった」と総括し、17年は企業システムのフルクラウド化などに注力すると説明した。

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SAPジャパン
福田譲社長

 同社の16年の売上高は、前年比110%の8億2500万ユーロ(Non-IFRSの固定通貨換算ベース)と過去最高を記録した。最高額の更新は6年連続。福田社長は「非常によい1年だった」と振り返った。

 右肩上がりの業績を支えたのは、クラウド関連だ。クラウドサービスの新規受注は239%と大きく伸びた。ほかの指標もプラスの数字を示すなかで、ライセンスの買い取りが前年比114%を記録。

福田社長は「ライセンスの買い取りは、9割くらいがクラウドで実装されている」と説明。主力とするERP(統合基幹業務システム)を中心に、企業のクラウド活用は今後も進むとの見通しを示した。

 日本だけでなく、クラウドはグローバル全体でも重要な要素だ。グローバル全体のクラウド関連の売り上げは、09年から16年の間で30倍以上になった。既存ビジネスのクラウドへの転換を約2年前に目標に掲げて以降、順調な推移をたどっている。SAPは、グローバル全体で今後もクラウド関連の売り上げは大きく拡大すると見込んでいる。

 福田社長は「クラウドビジネスを20年に約1兆円規模へと引き上げるのがSAPの目標で、これに沿って昨年は順調に推移した。今年も計画を変更することなく、若干の上方修正を行い、クラウド事業へのスムースな転換を目指す」と話した。

 17年の戦略については、「日本企業の変革をさらに前へ」が大きなテーマ。企業システムのフルクラウド化の軸となるのは、リアルタイムERPスイートと銘打つ「S/4 HANA」だ。

 福田社長は、S/4HANAについて、国内の大企業が採用したり、中小企業が短期間で導入したりした実績を強調。「無理強いはしないが、相変わらず基幹システムの運用にお金や人を使っていては、なかなか攻めのITができない」と指摘し、「世界の平均と比べても、限りあるITのリソースの多くを運用に使っている日本の現状に一石を投じたい」と意気込んだ。

 パブリッククラウドやプライベートクラウド、オンプレミス、ハイブリッドクラウドと幅広い形態に対応するなかで「どちらがいいかと言われたら、クラウドをおすすめする」と語った。

 さらに、「法人は、個人と比べるとつながっていないし、リアルタイムではない」と述べ、「法人を個人に近い形にするのが、S/4HANAを通じて目指すわれわれの理想だ」と話した。

 一方、キーワードとして注目されているIoTについては、「何かをつなぎましょうとか、とりあえずデータを集めましょうとか、そういうフェーズは過ぎつつある」と持論を展開し、企業の課題に対して、明確な解決策を示す必要性が出ていると強調した。

 そのうえで、「業種や業務ごとにどのようなビジネスバリューを出せるか、整理整頓を始めた」と強調。今年1月に発表し、すでに一部の企業に導入しているIoT向けのポートフォリオ「Leonardo」を中心に、経営層に向けたデジタル変革を進めていく考えを示した。

 「デジタル元年」と位置づけた16年を順調に終えたSAPジャパン。17年は、サービス部門の増員や人材育成なども強化する方針で、いまの勢いに乗ってさらなる飛躍を目指す。(廣瀬秀平)