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上海泛微網絡科技 中国クラウド市場

2017/06/07 09:00

週刊BCN 2017年05月29日vol.1679掲載

トータルサービスで複雑な需要に対応

【上海発】中国のクラウド市場が活気づいている。中国工業和信息化部(工信部)は4月10日、「クラウドコンピューティング発展三年行動計画(2017-19年)」を発表。19年のクラウド産業規模を15年比3倍弱の4300億元にする目標を掲げた。地場ベンダーの上海泛微網絡科技(Weaver Software、韋利東董事長)は、ユーザーの複雑なニーズを満たすサービスを整備し、他社との差異化を図っている。(上海支局 真鍋 武)

 泛微は、2001年に設立した中国の独立系ISV。各種申請のワークフローやスケジュールなどを管理できるBPA(Business Process Automation)ソフトとして、大中規模企業向けの「e-cology」、中小企業向けの「e-office」を主に提供している。従業員数は約2000人を抱え、パートナーを含め国内に約100のサービス拠点網を整備。顧客数は1万社を超える。

 同社では近年、クラウド型のビジネスへモデル転換を推進。アリババグループのIaaS「阿里雲(Alibaba Cloud)」上で「e-cology」「e-office」を展開するほか、簡易版SaaS「eteams」を14年から提供。順調にユーザー数を増やしている。

 一方、課題もある。金戈副総裁は、中国のSaaS市場について、「競争は激しく、ユーザーの囲い込みを図るために、無料ないし非常に安値でサービスを提供しているベンダーが多い。その結果、ユーザーは増えても、売り上げが伸びない悪循環に陥っている。このビジネスモデルでは将来性が見込めない」と説明する。
 

金戈
副総裁

 また、金副総裁は「お客様が重視しているのは、実は価格ではなく、複雑な課題を解決してくれることだ。PaaSなどによって、柔軟に機能を補足できるようにする必要がある」と指摘。実際、調査会社の艾瑞咨詢(iResearch)によると、16年の中国法人クラウド市場の内訳でPaaSが占める割合はわずか5%に過ぎない。開拓の余地は大きい。

 そこで同社では、16年から「eteams」でPaaSの提供を開始。さらにアリババの「釘釘」、テンセントの「企業微信」、金蝶の「雲之家」など、関連サービスとのデータ連携を実現する「e-bridge」や、クラウドアプリのマーケットプレイス「e-cloudstore」を提供し、ユーザーの複雑なニーズに対応する。この結果、16年度の売上高は前年度比で約45%伸びた。

 また、同社は今年1月、上海証券取引所のA株市場に上場した。金副総裁は、「今後はグローバル市場の開拓にも注力する方針だ。日本のITベンダーとの連携も模索したい」と意欲を示している。
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