コラボレーションで主導権を握る

 台湾アドバンテックは、2010年からIoT関連ビジネスに着手し、今まさに軌道に乗り始めようとしている。一社単独というよりは、他社とのコラボレーションに重きを置いて、エコシステムを構築することでビジネス拡大に注力。ジョイントベンチャーの設立も視野に入れている。将来的には、IoT分野で主導権を握ろうとしているわけだが、果たしてワールドワイドでどのような取り組みを進めていくのか。ケーシー・リウCEOに話を聞いた。

――IoT関連ビジネスを拡大していくうえで他社に比べての優位性は何か。
 
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台湾アドバンテック
ケーシー・リウCEO

リウ かつて当社も主流ビジネスに据えていた、産業用マザーボードを開発するメーカーは多く存在する。しかし、競合は、いまだに“オールドビジネス”を手がけている。当社は、いち早く「インテリジェント・プラネットの実現」というビジョンを掲げてIoTビジネスへの転換に踏み出した。いまでは、ソフトウェアプラットフォーム「WISE-PaaS」など、IoTを実現するためのプラットフォームを提供しており、これが他社との優位性だと捉えている。しかも、IoT関連ビジネスを手がけるうえで重きを置いているのは、パートナー企業との“コラボレーション”だ。WISE-PaaSによって、パートナー企業は異なるプロトコル規格を統一することができるほか、データ、画像、デバイス、ネットワーク管理を可能にする。また、パートナー・プログラムも提供しており、パートナー企業によるIoTアプリケーションの市場投入を支援しているほか、複数社と連携してセンサ・プラットフォームのオープン規格「M2.COM」にも取り組んでいる。

――今回、組み込みLinuxとAndroidのアライアンス「Embedded Linux&Android Alliance(ELAA)」の設立を日本でも発表した。

リウ ELAAの設立は、何よりも大きい。ELAAは、産業用組み込みアプリケーション向けに、組み込みLinuxおよびAndroid用のオープンで統一化されたアーキテクチャの標準化されたボードの採用を推進している。そのため、体制を整え課題の解決を目指している。今回の日本での発表を機に、業界標準とオープンソースコミュニティを進歩させ、組み込みおよび産業用IoTアプリケーションにおけるLinuxとAndroidの採用を強化していきたい。

――いま注目している国はどこか。

リウ (本社を構える)台湾と日本だ。当社は、IoT分野でグローバルリーダーになることを目指しているが、これは他社を差し置いてリーダーになるという意味ではない。あくまでも、当社はプラットフォームを提供し、SIerなどのパートナー企業によるソリューションでユーザー企業のニーズを満たしてワールドワイドでIoT関連マーケットの活性化につなげていくつもりだ。このような土台が整っているのが台湾と日本だ。しかも、パートナー企業とジョイントベンチャーを設立する可能性だってある。そのための投資を、台湾だけでなく日本でも実施することを視野に入れている。

――ほかにも、パートナーシップで考えていることは?

リウ IoTの導入という点では、いまは大手企業が積極的に取り組んでいるが、近く中堅企業による導入機運も高まってくるとみている。このニーズに対応するため、いま以上にパートナー企業とのコラボレーションを積極的に行っていく。(佐相彰彦)
 

「ELAA」の設立会見を日本で開催

 アドバンテックは5月11日、「アドバンテック テクノロジーリーダーシップ プレスカンファレンス ~アドバンテックが狙う次世代のIoT戦略~」を開催した。カンファレンスでは、リウCEOと日本法人のマイク小池社長がIoT戦略を説明。リウCEOは、「今後、IoTを中心に世界はますますインテリジェントになっていく。世の中のルールを変えるIoT分野で、当社はテクノロジーリーダーとして邁進していく」とした。また、小池社長は「当社は、『インダストリー4.0』『スマートシティ』『IoT』の三つのフィールドを軸にしている。とくに、インダストリー4.0は労働人口が減少する日本には重要になっており、最新テクノロジーを使って若者に継承する必要がある」と訴えた。
 
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アドバンテックを中心に「ELAA」の日本向け設立を発表

 加えて、ELAA設立発表も実施。アライアンスに参加するパートナーが登壇したほか、リウCEOは「これまで標準化やモジュール化が整備されていなかった組み込みLinuxやAndroidの分野において、オープンで統一的なプラットフォームアーキテクチャを確立していくことは、業界に大きなインパクトを与える」とアピールした。
 
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記者会見で方向性を語るケーシー・リウCEO(左)と日本法人のマイク小池社長