実証実験を通じパートナーを募る

 KDDIは、中部電力、中小企業基盤整備機構中部本部(中小機構中部)、シスコシステムズ(シスコ)とともにIoTビジネス創出のため、中部エリアを中心にIoT事業に関するビジネスパートナーの募集を開始した。募集期間は9月29日まで。

都市部と郊外で実証実験を実施

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中小企業向け説明会について話す
上田グループリーダー

 KDDIにとってはIoTのビジネスパートナーを公開募集する初めての取り組みとなる。IoTビジネスに高い関心をもつ中小企業は多いが、1社だけで取り組むのは難しい。そこで企業同士を結びつけ、新たなビジネスを創出し、IoT市場、そして中部エリアを活性化させることが狙いだ。

 今回、実証実験のエリアとして中部を選んだ理由についてソリューション事業本部 ビジネスIoT推進本部ビジネスIoT営業部の落合孝之部長は「都市部と郊外で適したネットワーク、ビジネスが異なる。そのため、両方で実施したい。また、東京は飛び交う電波が多く、電波干渉をしやすい」と説明した。

 4社の役割は、KDDIが低消費電力、低ビットレート、広域カバレッジのLPWA(Low Power Wide Area)のネットワーク構築、運用を担当する。今回はLPWAのなかでも比較的手軽に利用できるLoRaを採用する。中部エリアで有名企業である中部電力がエリアでの告知と、LPWA基地局の設置場所の提供を、中小機構中部が会員企業を対象に声かけを、シスコがLoRaのゲートウェイを提供する。なお、シスコは技術的なサポーターとして、デバイスからアプリケーションまでの疎通に関してサポートする。このほか、KDDIと中部電力の2社がIoTデバイスで集めたデータの蓄積、管理も担当する。

 募集するIoTビジネスパートナーは業種を問わず、LPWAネットワークを活用したサービスやビジネスアイデア、LPWAネットワークを活用したシステムをもち、共同で実証実験ができる中小企業を募る。落合部長は「業種は絞らず、オープンに募集をかけている。規模が小さくてもすぐれた技術、アイデアをもっている企業はある。こういった企業と出会えるチャンスでもある。IoTビジネスは複数の企業をミックスすることで創出する事業だと思う」と話し、積極的にパートナーを増やしていきたい考えだ。

IoTビジネスの要はデータ収集と分析

 IoTビジネスで重要なのは、何のデータを収集し、集めたデータをどう活用するかだ。監視・管理システムのように、届いたデータによってアクションを起こすIoTソリューションもあるが、今後は、複数のセンサで集めたデータをまとめ、分析・解析するソリューションが増えていくだろう。実際、来店客の動きなどを分析し、購買を促進するマーケティングソリューションなども誕生している。
 
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LPWAの実証実験について
説明する落合部長

 複数のセンサを備えたハイスペックなIoTデバイスを設置し、さまざまなデータを集めることができればいいが、デバイスコストが嵩んだり、デバイスの駆動時間が短くなったりなどのデメリットがある。必要なデータのみを収集できるのが一番効率的だが、落合部長は「今、IoTに取り組み始めようとしている企業は、何のデータを集めていいかわからない」という。また、さまざまなセンサで集めたデータをまとめても「不要なデータを取り除いていたら何も残らなかった、というケースも珍しくない。実証実験を通じて、何が必要なデータで、何が不要なデータか、確かめていく」と話す。

 また、集めたデータをどのように分析、解析するかも重要だ。今回の実証実験ではデータ分析まで行う、と定めてはいないが、落合部長は「データ分析まで共同で行うことで非常に価値のあるものになりそうな場合は、KDDIのパートナーと共同でデータ分析を行うことも検討している」と臨機応変に対応する構えだ。また、集めたデータをどのように解析・分析していくかも、今回募集するパートナーとともに模索していく方針だ。

 6月15日に名古屋で中小企業向けの説明会を開催した。70社100人ほどの参加見込みが、募集を開始してからわずか3週間で席の半分は埋まったという。説明会は今回1度きりではなく、参加した業種などを参考にしながら継続していく考え。ビジネスIoT推進本部 ビジネスIoT営業部営業推進グループの上田真理グループリーダーは、「今回はLPWAを使った実験になるが、案件によってはLTEが向いている場合もあるし、SIMを使わずWi-Fiのほうが向いている案件もあると思う。LPWAに限定せず、幅広く対応していきたい」と話す。
 
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左からビジネスIoT推進本部 ビジネスIoT営業部営業推進グループの上田真理グループリーダー、
ソリューション事業本部 ビジネスIoT推進本部ビジネスIoT営業部の落合孝之部長

 IoTビジネスは、IoTデバイスメーカー、通信キャリア、アプリケーションベンダーなど、さまざまな企業が手を組んで共創していくことが不可欠だ。それは、一芸に秀でた中小企業の強みを発揮できる市場でもある。今後は企業と企業のマッチングがより重要になっていくだろう。(山下彰子)