人生の“最終コーナー”で富士通へ

 ――私とは、同い年ですし、友だちでもある中山さんが、今後のキャリアを、どうつくるのか、とても注目していました。しかし、富士通に移籍することには驚きました。

中山 富士通がエバンジェリストを採用したいと考えていた時、私との出会いがありました。それが今年の春です。いま、私は、谷畑さんと同い年の53歳です。富士通との出会いがあって、ソフトバンクは定年が60歳ですので、あと7年間の生き方をどうするか考えました。ビジネスパーソンとしての“最終コーナー”を、このままソフトバンクでいるのも悪い人生ではない。だが、違う視点で世界を見るのもいいのではないか、と思ったのです。
 
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中山氏の最近の講演テーマは「シンギュラリティ」。
これを実現する技術として富士通の量子コンピュータに注目している
 
 富士通には、ここ1~2年で、セキュリティとビッグデータ関連のエバンジェリストが、それぞれ1人配置されているということです。「エバンジェリスト」という職位は、最近まで存在していなかったようです。

 ですが、富士通は2015年9月から、クラウド、モバイル、ビッグデータ、IoTなどの最先端技術を実装したデジタルビジネス・プラットフォーム「MetaArc(メタアーク)」の販売を開始しています。その翌年には、AIの「Zinrai(ジンライ)」を始めています。富士通は、クラウドやAIなどの展開が他社に比べ遅れぎみでしたので、製品やサービスの良さだけでなく、その存在を広く知らしめることが求められていたようです。

 ――富士通からは、どのような役割を求められ、どんな期待をかけられているのでしょうか。

中山 ソフトバンクでやっていたエバンジェリスト活動のテイストを期待されています。ソフトバンクのエバンジェリスト活動の中では、全国で講演を行い、企業トップクラスの人と会い、製品・サービスを説明し、落とす、という“ゴールデン・パターン”がありました。まさにそれを、富士通も求めていると感じましたし、私自身、そのノウハウをものすごくもっています。

 富士通に転職するきっかけの一つになったのは、他の電機大手の業績が下降線を辿っている中で、成長しているということです。実際、田中達也社長に成長要因を聞いてみました。すると田中社長は、「システムインテグレーション(SI)」の重要性を説いていました。

 今回、最初のオファーの内容は、「AIのエバンジェリスト」をやって欲しいとのことでした。谷畑さんね、AIはSIビジネスなんですよ。単なる製品ビジネスではないんです。今後は、「ハイブリッドなAI」が求められてきます。富士通のAI「Zinrai」だけでなく、サードパーティのAIやクラウドを含め、顧客側ではさまざまな製品・サービスを組み合わせて、一つのAIシステムをつくることになる。富士通には、SIを含めたAIビジネスができる強みがあるんです。

 もう一つ、入社前から富士通のプロダクトで注目していたのが、「量子コンピュータ」です。日本国内では、この領域で富士通が抜き出ていますし、相当な技術をもっています。「シンギュラリティ」を実現するのは、ノイマン型コンピュータでなく、量子コンピュータでないと無理だという考えをもっていました。それを、日本できちんと提供できる会社は、富士通しかないと思うので、いまから、わくわくしています。

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