「AIを搭載しストレージと会話」を強調

 仮想マシンに特化したストレージベンダーとして進化を続けるティントリ。2008年に設立した同社は、来年10周年の節目を迎える。プライベートイベント「Tintricity 2017」に合わせて来日した米ティントリのキーラン・ハーティ・CTO兼共同創業者に創業時の使命感と今後の展開を聞いた。

──どのような使命感をもってティントリを立ち上げたのでしょうか。
 
201710191850_1.jpg

米国ティントリ社
キーラン・ハーティ
CTO兼共同創業者

 仮想環境に最適なストレージを生み出すことがティントリのミッションです。また、08年当時から、フラッシュストレージ(SSD)がストレージ市場の中心になることはわかっていましたので、そこにもこだわってきました。

──設立から今日まで、振り返った感想を教えてください。

 ここ数年のストレージ市場を見ていると、われわれが設立当時に考えていた製品に、すべてのメーカーが近づいてきた、と感じています。11年に最初の製品を投入したとき、お客様も他社も、ストレージの性能の違いに注目していました。ところが、17年現在、各社のストレージ性能の違いはほぼありません。

 ティントリは当時からストレージの性能ではなく、QoS、アナリティクス、オートメーション、セルフサービスといったテクノロジーを捉え続け、それが他社との差異化のポイントになっています。

──ストレージ市場はここ数年目まぐるしく変化しています。この9年間で一番の市場の変化はどのようなことでしょうか。

 製品を初めて投入した11年当時、アプリケーション全体のなかで、仮想環境で働くアプリケーションの割合は30~40%ほど。アプリケーションをクラウドで使うお客様はほとんどいませんでした。それが今は80%以上のアプリケーションが仮想環境で動いています。

 また、8月末に開催したVMwareのプライベートイベント「VMworld 2017」では、来場のお客様と話をしましたが、ほとんどハードウェアの話は出てきませんでした。話題の中心は、アナリティクス、オートメーション、セルフサービスなどでした。ハードウェアの違いだけではなく、ソフトウェアの優位性が重要になっていると実感できました。

ティントリの進む方向性
第一歩がEC6000

──9月20日に発売した「Tintri EC6000 オールフラッシュシリーズ」の優位性を教えてください。

 一つは、従来してきたストレージ側の分析に加え、仮想マシンごとのCPU、メモリ使用率の分析・予測が可能になったこと。もう一つはハードウェアについてですが、最小19TB、最大645TBと幅広くカバーできる点です。また、必要な容量をSSD単位で細かく追加できる点も特徴です。これまでは容量の拡張にはシェルフの追加が必要でした。そのため、ケーブリングなどの作業が発生し、10TBの追加に一日かかることも。EC6000はSSDを最大24本搭載できます。導入時は最小構成の13本のハーフサイズからスタートし、必要に応じで1本ずつ追加できます。これなら2分あれば拡張が可能です。さらに今回は価格を抑えた8TBのSSDも用意しました。価格面でもご満足いただけると思います。
 
201710191850_2.jpg
Tintri EC6000 オールフラッシュシリーズ

──ソフトウェアの優位性は、なぜ維持し続けられるのでしょうか。

 私はティントリを設立する前に、VMwareの研究開発部門の副社長を務めていました。このVMwareは01年から07年の間、ハイパーバイザーしか売っていませんでしたが、今はネットワークやストレージにつながる製品など、ラインアップが増えています。販売するものは変わってきましたが、VMwareがもつ基本的な技術、核となる技術は変わっていません。ティントリも同様です。設立当時からもっていた基礎技術の上に追加をしているのです。

──ティントリの基礎技術というのは、アナリティクス、オートメーションなどのテクノロジーでしょうか。

 そうです。アナリティクスはメモリのなかをサーチしたり、ギャザリングしたりするアプリケーションです。ストレージ内のデータをすべて取ってくるところから始まります。EC6000はコンピュートの分野までアナリティクスの領域を広げましたが、核となる技術は同じです。また、現在はハードウェアに特化したアナリティクスを提供していますが、対象はハードウェアに限定していません。データベースであっても分析できるエンジンを開発しているので、このエンジンをベースに製品を開発していきます。

──今後の展開について教えてください。

 今、注力しているのが「ソフトウェアアシスタント」とでもいうのでしょうか、人の話す言葉ですべてをアシストできるソフトウェアの開発です。例えば「仮想マシンが遅いんだけど」と聞けば「ストレージ領域を広げて」と答えてくれます。トラブルシューティングやビジネスプランニングに利用できます。

 今は、AmazonのAIアシスタント「Amazon Alexa」を使っていますが、Alexaは決められた単語しか理解できません。決められた単語を理解してそれに対して回答しています。ですが、指定した単語や専門用語を使わず、日常会話で人がやりたいことをシステムが判断してくれる、そんなAI技術を開発しています。AIをデータセンターに導入し、ストレージと会話をする……。こんなことは他社では絶対にできません。なぜなら他社はAPIによるインプリメントに完全に対応できていないからです。このAIを18年の第1四半期には正式にリリースする予定です。(山下彰子)