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地場企業と国際通信サービスを展開――上海スターティア

2017/11/22 09:00

週刊BCN 2017年11月13日vol.1702掲載

日中間のクラウド環境を高速接続

【上海発】スターティア中国法人の上海思達典雅信息系統(上海スターティア、柴田淳董事長)は、日本と中国のクラウド環境をつなぐ国際通信サービス「Global Gateway for AWS」の提供を10月に開始した。地場企業の上海暢暁信息科技(厳寅江 代表)と共同で展開する。2020年までに300社への販売を見込む。(上海支局 真鍋 武)

柴田 淳
董事長

 中国では、インターネット規制に伴い、「Amazon Web Services(AWS)」のクラウド環境は、グローバルの他リージョンと切り離されて運用されている。そのため、ユーザー企業はグローバル版のアカウントを利用できず、中国の専用アカウントが必要で、日中間をまたぐアクセスでは通信が不安定という課題がある。上海スターティアの柴田董事長は、「クラウド環境を接続させたいという日系企業のニーズが高まっている」と話す。

 同社は、日中間の専用回線インターネットサービス「Global Gateway」を、企業や個人向けに提供してきた。今回、中国の通信ライセンスをもち、大手通信キャリアの販売代理店である上海暢暁信息科技と提携し、両社の技術・ノウハウを融合。AWSの中国リージョンと日本リージョンを専用の国際回線でつなぐサービスを提供する。

 上海スターティアの実環境計測によれば、「Global Gateway for AWS」の大容量ファイルの平均転送速度は、ダウンロードが245.7KByte/s、アップロードが542.7KByte/sで、パケットロス率は0.1%。柴田董事長は、「通常のインターネットで接続する場合と比べて、10倍ほど高速で通信できる」とアピールする。

 主なターゲットは、中国に拠点をもつ流通・小売りなどのグローバル企業や中国にスマートフォンゲームなどを配信するコンテンツ企業。「Global Gateway for AWS」と類似する国際通信サービスには、ソフトバンクとアリババグループの合弁会社であるSBクラウドが提供する「Express Connect」があるが、同サービスの主な接続対象は「阿里雲(アリババクラウド)」のため、柴田董事長は「直接的に競合するとは考えていない」という。

 サービス契約は中国の法規則に則り、「AWS」中国リージョンは運営元である光環新網(SINNET)、「Global Gateway for AWS」の通信回線は上海暢暁信息科技となる。上海スターティアは、サービスの紹介手数料を受け取って収益をあげる仕組みだ。今後は、「AWS」の導入コンサルティングを手がけるSIerとの提携も検討していく。

 柴田董事長は、「日中間の専用回線インターネットサービスで企業から個人、モバイルへとラインアップを広げ、今回、新たにクラウド向けのサービスを開始できた。中国市場の潜在力は大きい。さらに一方、飛躍したい」と意欲を示した。
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外部リンク

スターティア=http://www.startia.co.jp/