海外留学生の育成も

 ICT分野専門の私立大学である神戸情報大学院大学(KIC)は、兵庫県神戸市で優秀なICT人材を輩出することに力を入れている。課題に対して、どのようにITを利用・活用できるのかをプロジェクト単位で検証するほか、海外からの留学生誘致にも力を注ぐ。神戸市内のSIerもバックアップする体制を整えようとしている。

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コンピュータ総合学園神戸電子専門学校で広報を担当する伊藤大介氏(左)と神戸情報大学院大学の嶋 久登教授

 KICは、日本のICTインフラ構築の中核を担う高度な技術者を育成することを目指して2005年4月に開学。開設したのはコンピュータ総合学園で、併設校として神戸電子専門学校が存在する。ICT分野の専門性を磨くとともに、時代の流れにアンテナを張って社会に寄与する探求型技術者の育成をすすめている。コンピュータ総合学園神戸電子専門学校の法人本部学園事務局企画部広報課の伊藤大介氏は、「実際に、学生が課題を見つけ出して、それを解決する方法を導き出すという授業を実施している」と説明する。

 授業といえば机上で議論するケースが多いが、KICの授業は現場に役立つITソリューションの創造を意識している。KICの嶋久登・情報技術研究科教授は、「プロジェクトを見つけるための社会連携推進室を設置している」という。伊藤氏は「研究フィールドとして、直近では酒蔵で温度管理を実施するなどに取り組んでいる」としている。
 
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ICTイノベータコースの授業風景

 学生がプロジェクトを遂行するため、神戸市のSIerがバックアップするケースもある。「学生が神戸で就職するケースが少ないことに加えて、SIerによる神戸の人材採用も少ないといえる。神戸をもっと盛り上げるためにも、この状況を打破したい」と嶋教授はかみ締める。

 また、KICではルワンダなどアフリカでの社会課題解決に向けて、ICTを活用したプランを立案する研修やセミナーを実施する「ICTイノベータコース」も設置している。国際協力機構(JICA)の支援で実現したもので、毎年、35~40人が受講しており、企業に勤める会社員がICT関連の新規事業を立ち上げるために留学するなど、多くがミッションをもって日本にきているという。嶋教授は、「開発課題とICTの両方を理解する人材によって、アフリカで解決できる課題は多い。このコースから多くのリーダーが育ってほしい」と考えている。

 現場で使えるICTや海外留学生の誘致などを通じて、ICT関連の人材を育成しているKIC。「とくに、日本人にキャリアプランをもってほしい」(嶋教授)と、学生に期待を寄せている。(佐相彰彦)