顧客のクラウドシフトを推進する

 日本オラクル(フランク・オーバーマイヤーCEO)は1月26日、プライベートイベントの「Oracle CloudWorld Osaka」を開催した。基調講演では、フルレイヤでクラウドを提供できることを強みに、顧客のクラウドシフトを強力に推し進める方針を示した。また、中堅・中小企業(SMB)におけるクラウド活用のポイントなどを話し合ったパネルディスカッションを実施。両セッションのもようをレポートする。

顧客のデータ活用
イノベーションをサポート

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日本オラクル
石積尚幸
執行役副社長

 基調講演では、日本オラクルの石積尚幸執行役副社長が登壇。顧客のトランスフォーメーション(変革)をサポートする「イネーブラー」として、「データドリブンイネーブラー」「イノベーションイネーブラー」になると宣言した。

 データドリブンイネーブラーとしては、「自社だけでなく、外部のデータも組み合わせて新たな価値を創造する支援を行う」と説明。イノベーションイネーブラーとしては、顧客がイノベーションを実現するための機能として、IaaS/PaaS/SaaS/DaaS(Data as a Service)をすべて一社で提供するオラクルのクラウドプラットフォームと、昨年米国で開催した「Oracle Open World」で発表した自立型データベースを含む「Innovation Toolbox」を提供すると強調した。

 石積副社長は講演の最後に、「POCO(The Power Of Cloud by Oracle)」に代わる新スローガンを発表。「beyond your cloud >commit;」が新たな旗印となった。日本市場における「No.1クラウドカンパニー」となることを打ち出してきた同社だが、「私たちがしなければならないのは、自分たちがクラウドナンバーワンになることではなく、お客様がクラウドを使ってさらにその先に行くお手伝いをすること」だと石積副社長は言い切った。

 なお、石積副社長の講演後は、日本オラクルから竹爪慎治執行役員らが日本オラクルのクラウド戦略を説明するとともに、NTTコムウェア、楽天カード、三菱電機、MonotaROといったユーザー企業からゲストが登壇して、オラクルのクラウド活用事例を紹介した。

SMBでも
クラウド活用で商機が広がる

 クラウドビジネスを加速させている日本オラクル。16年10月に発足した営業組織「オラクル・デジタル」では、SMB向け市場の開拓に取り組んでいる。SMBにおけるクラウド活用のメリットは何か。SMB向けに業務パッケージを提供する3社と日本オラクルによるパネルディスカッションで明らかにした。
 
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SMBがクラウドを活用するメリットについて語り合ったパネルディスカッション。
写真右から、ワム・システム・デザインの齊藤彰久執行役員、AZURE・PLUSの清水秀樹代表取締役、
アルカディア・システムズの小池潔常務取締役、日本オラクルの本多充執行役員

 パネリストとして登壇したのは、アルカディア・システムズの小池潔常務取締役 医療システム本部長、AZURE・PLUSの清水秀樹代表取締役、ワム・システム・デザインの齊藤彰久執行役員 営業統括シニアマーケティングアナリストの3人。各社が、オラクルのユーザーであり、パートナーでもある。モデレータは日本オラクルでオラクル・デジタルを率いる本多充執行役員が務めた。

 医療系システムの開発・販売を手がけるアルカディア・システムズの小池常務取締役は、とくに病院ではシステムをインターネットにつなぐことに抵抗感をもつところが多いが、規模の小さな病院がITを活用するうえでは、コストメリットのあるクラウドを利用すべきだという。また、複数拠点を一つのシステムでカバーするのもクラウドが最適であり、いずれにしても、「クラウド利用の安心・安全をどう説得できるかが課題」だとしている。

 IT事業とメディア事業を展開するAZURE・PLUSでは、ウェブ制作・運用などにクラウドを活用。中小企業の顧客が多く、クラウドは知っているが、主に「コスト面で導入にハードルがある」と、清水代表取締役は話す。クラウドは導入の速さ、拡張性にメリットがあり、「例えばミニマムで始められるところから始めてみるといいのでは」と提案する。

 倉庫管理システム(WMS)などを提供するワム・システム・デザインの齊藤執行役員も、クラウドを活用するにあたり「ビジネスを思いついたらすぐにスタートできる。ビジネスの可能性をクラウドが生む。そのときにクラウド事業者には、セキュリティや情報共有など、事業化に向けたサービスインフラをうまく支援してほしい」と話した。
 

ワム・システム・デザイン
クラウド活用でビジネスが拡大

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ワム・システム・デザイン
齊藤彰久
執行役員

 パネルディスカッションに登壇した、ワム・システム・デザインは、約30年にわたりWMSを手がけている。同社の提供するカラーバーコードを使った建設業向け入退場管理システム「Color Gate System~動作管理システム~」には、基盤として「Oracle Cloud Platform」を採用。従来は製造・物流向けに展開していたWMSだが、クラウドの活用によって、同じ人やモノを管理するノウハウを建設業向けに横展開が可能となり、同システムが実現しているという。「建設現場は毎回場所が異なれば期間も異なる。そうしたときにクラウドなら柔軟に対応できる」と齋藤彰久執行役員は話す。

 近年は、医療・介護業界から、シフト管理用途などで引き合いがある。「(クラウドなので)スタートが早い。提供するこちら側も、機能は最初は絞りこむため、料金は月額数千円程度で済み、相手に受け入れてもらいやすい」と齋藤執行役員。「判断が早く、トライアルの感覚で、サービスインができるのがクラウドのメリットではないか」と話す。