キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS、神森晶久社長)は2月20日、情報セキュリティカンファレンス「ESET Security Days Tokyo 2018」を開催した。昨年に続き2度目の開催となる今回は、スロバキアのESET本社からリチャード・マルコCEOが基調講演に登壇。プログラム全体を通して、サイバーセキュリティの脅威動向やESETの製品・テクノロジーを紹介した。

設立30周年、成長を継続

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キヤノンITソリューションズ
近藤伸也
執行役員

 イベントの冒頭では、キヤノンITSの近藤伸也執行役員ITインフラセキュリティ事業部事業部長が挨拶。同社は、ESETの総販売代理店として、2003年に初めてESETのアンチウイルスソフトの日本語版を提供した。それから15年を数える今年は「特別な年」だと語り、「おかげさまで現在、コンシューマ分野では600万ユーザー、法人分野では37万社を超えている」と、感謝を述べた。
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ESET
リチャード・マルコ
CEO

 続いて、「サイバー攻撃の未来予測とESETのビジョン」をテーマに、ESET本社のリチャード・マルコCEOが基調講演を行った。まず、サイバー脅威トレンドとして、仮想通貨の採掘を行うマイニングマルウェアの動向を説明。加えて、産業制御システムを狙った攻撃が増加していることなどについて言及した。

 その後、ESETは17年に30周年を迎えたと話し、「17年の成長率は、グローバルで9%、日本においては16%」と、現在も成長を続けていると説明。「(ESETの製品は)世界200以上の国・地域、6億以上のデバイスで使われている」と、これまでの実績を強調した。コンシューマ向けからエンタープライズ向けまで幅広い規模の顧客に対して製品を展開しているが、「ここ2、3年は法人向けビジネスに注力し、とくにエンタープライズ向けを強化している」。さらに現在、世界中で拠点体制の強化を図っており、日本にも今後新たな拠点を開設する予定だと語った。

新製品、脅威動向を解説

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ESET
ユライ・マルホ
CTO

 次に、ESETのユライ・マルホCTOが登壇。「サイバー攻撃の進化に対峙するESETのエンタープライズソリューション」と題して講演した。まずESETの技術について説明した後、中小企業向け製品として「ESET Cloud Administrator」を紹介。コンソールが軽量で、クラウドベースで使いやすく、「中小企業向けにテーラー(調整)している」という。また、エンタープライズ向けの新製品として、「とくに使い勝手に注力した」とアピールするEDRソリューション「ESET Enterprise Inspector」と、クラウド上で脅威解析を行う「ESET Dynamic Threat Defense」を紹介した。
 
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キヤノンITソリューションズ
石川堤一
シニアセキュリティ
リサーチャー

 続いて、キヤノンITSの石川堤一・マルウェアラボマネージャー シニアセキュリティリサーチャーが登壇し、「マルウェアラボレポート 2017-2018」を解説した。石川シニアリサーチャーは、17年の脅威動向として、日本語でのメール攻撃が悪質化し、「不審なメールに気づくことが難しくなってきている」と指摘。そのほか、ぜい弱性の悪用、仮想通貨やサプライチェーンを狙った攻撃などが増加したと話す。また、18年のマルウェアのキーワードとして「ブラウジングとスクリプト」「ぜい弱性悪用」「マイニング」の三つを挙げた。

Special  Interview
ESET リチャード・マルコCEO & ユライ・マルホCTOに聞く
日本市場への期待は?

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ESETのリチャード・マルコCEO(左)とユライ・マルホCTO

――ESETが提供できるセキュリティとは何か。

マルコCEO マルチレイヤでのプロテクションが特徴だ。コンピュータがネットワーク環境につながっている段階で、さまざまなレイヤが存在するわけだが、当社の技術ではそれぞれのレイヤで防御を施し、最終的にマルウェアが本体に侵入することを防ぐ。これにより、効率的に侵入を防ぐことができると同時に、コンピュータに与えるインパクトは非常に小さい。

 そのベースにあるのはリサーチ力だ。マルウェアを研究し、その成果を発表している。リサーチ力が、そのまま効果的なソフトウェアの開発につながっていると確信している。

――今回、来日にあたってのアップデートは。

マルコCEO 一つ際立っているのが、レイヤを一つ追加したことだ。「UEFIスキャナー」というものだが、OSが立ち上がる前に走っているシステムへの攻撃を防ぐ。最近はUEFIへの攻撃が増えているが、このレイヤに対するセキュリティソリューションを提供しているのはESETだけだと自負している。

マルホCTO エンタープライズ向けにEDRのソリューションも提供する。ネットワーク内の情報を収集することで、どのような脅威にさらされているか、セキュリティ担当者がわかるようになる。これまでは主に自社で利用し、限定的に提供してきたが、今回、ベストなかたちで提供できるようになった。

 ESETでは、レイヤごとにソリューションを提供するにあたり、ネットワークトラフィック全体の検査を行っている。また、スクリプトを使った攻撃も増えているが、その解析を行っていることも特徴だといえる。

――今後、日本市場への期待度は。

マルコCEO 日本は先進的な市場で、そのなかで当社はブランドとしてしっかりと根づくことができている。今はグローバルで4位の位置にいるが、新製品のEDRも今後提供していくことで、日本の顧客に対してもさらに進んだソリューションを提供し、さらに市場を拡大していけるだろう。