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沖電気工業 「共創」目的でフェア開催

2018/03/29 09:00

週刊BCN 2018年03月26日vol.1720掲載

 沖電気工業(OKI、鎌上信也社長)の中部支社は2月1日、次世代ソリューションを中部地区に広め、顧客やパートナーと新ビジネスの創出を目指す目的で、「OKIソリューションフェア2018 in 中部」を開いた。同イベントでは、センサやデータ転送などの技術を生かしたIoT(Internet of Things)の展開事例や交通インフラ向けのITSサービスなど、自社製品やパートナー企業と共同で開発した製品などが展示された。3年連続3回目の開催だが、会期を1日間から2日間に延長し、より多くの来場者を呼び込んだことで、前回の約1.5倍となる138社から354人が参加した。

中部地区の製造業と連携強化

イベント開始前の記者会見で全体の
説明をした宮澤透・執行役員

 今回のイベント・テーマは「繋ぎ続けて創る未来~お客様との共創で、ビジネスと社会に革新を。~」。とくに強調したのが「共創」だ。展示開始前に開かれた記者会見で、同社の宮澤透・執行役員統合営業本部第三営業本部長は、「道路や空港、店舗、工場など、社会生活のなかで、知らず知らずのうちにOKIの製品が使われている。例えば、新幹線のチケット発券機などがそれだ。BtoBが主体だが、BtoCの面も備えた会社だ。当社のモノづくりで培ったなかでつくられた先端の製品やデジタル技術で、ヒト・モノ・コトを繋ぎ、社会やビジネスの課題解決や利便性向上を担いたい。そのために、顧客と一緒に考え、『共創』するなかで新たなビジネスを創出したい」と、愛知、岐阜、三重、静岡にあるグローバル企業と共同でイノベーティブな製品開発を進めたいと語った。

 宮澤執行役員が中部地区に期待するのは、トヨタ自動車をはじめとした自動車や、交通、航空、運輸、流通などで業界トップクラスの大企業が多いことだ。「航空機や新幹線をはじめとしたJRの車両などで、中部地区の企業と共創できる。同地区は大切なエリアだ」と述べ、同社がもつ情報通信、メカトロニクス、EMS(電子機器の受託生産)、プリンタの主力4事業で展開する製品や技術を使った協業を推進していくとしている。
   今回の展示構成は、展示ゾーンでの製品展示とOKIの次世代ソリューションやOKIと協業して開発した製品を説明するセミナーを行った。展示ゾーンは、次世代交通、地域の安心・安全・防災、業務改革、お客様接点改革、施設・設備保全維持、新技術/共通技術の6つのテーマ別に加え、沖データなど8社による「OKI-Gゾーン」が設けられ、既存商品だけでなく、直近に発表した新商品や今後製品化を予定する参考出品の商品が並んだ。

 新商品で注目を集めたのは、ITSや光ファイバーを使った監視システム、IoT関連などだ。例えば、次世代交通関連では、「LocoMobi2.0」と呼ぶITSサービスを展示。同サービスは車両の情報や渋滞情報などの道路情報を収集・分析しタクシー会社などの車両利用企業の業務効率化を図るSaaS型ITSサービスだ。工程管理が厳しく建設現場に時間通り資材を運搬することを強いられる建設会社に提供中という。展示場の説明員によると、「人工知能(AI)やビッグデータ解析などを取り込み分析し、渋滞状況などに応じて適宜運転手に推奨路線や到着予測などを伝える」という。
 

次世代交通など6つのテーマ別ゾーンで商品を展示し、地元企業が説明を聞いた

 また、光ファイバーを使った新商品としては、「分布型温度・歪みモニタリング」というソリューションを公開。光ファイバー上の温度・歪み分布を可視化する先進技術で、トンネルや橋脚、ダムなど、広範囲を点検する必要がある社会インフラの常時監視を実現する。「多数の電気式センサを敷設するよりも導入コストを低減でき、早期の異常検出が可能だ」という。現在、実証実験用の評価キットを提供中だ。業務改革ゾーンに展示された新商品のうち、映像IoTシステム「AISION」は、OKIのメカトロの技術を応用し、H.264符号化形式の高画像映像データを大幅に圧縮する映像配信の効率化技術を備えるほか、顔認識、物体認識など画像センシング技術を搭載する。「店舗の窓口・レジの混雑予測や優良顧客の認識で顧客サービスを向上したり、工事現場で危険エリアに作業員が侵入した際の警報通知ができるなど、用途は多様だ」と、小売店舗や電力会社、空港などに売り込む。
 

独自の映像IoTシステムの展示ブース

 参考出品されていたのは、プロジェクターやカメラなどのIT機器を活用し製造現場のQCD(品質・費用・納期)を向上する「プロジェクションアッセンブリーシステム」や、バーチャルオペレータによる無人窓口対応を実現するATMの技術を生かした「AIアシスト端末」などだ。AIアシスト端末は、キャッシュレス社会に向け同社主力のATMに代わる端末として、タッチ操作でAI対話エンジンとやり取りする金融機関向け端末として開発中。「硬貨や紙幣の出入金機やパスポートリーダー、チケットプリンタなどを自由に組み込めるので、金融機関をはじめ、鉄道・空港などのチケット発券などに応用できる」と話す。

 同イベントでは、OKI単独のソリュションに限らず、富士機械製造やデンソーウェーブなども、OKI製品と連携した商品を展示していた。また、OKI-Gゾーンでは、OKIソフトウェアがコールセンター連携CRM(顧客管理)を展示したほか、沖ウィンテックがEXaaS音声クラウドサービス、沖データがLED(発光ダイオード)プリンタ・複合機や本格的に市場開拓を目指す大判プリンタなどを紹介していた。
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外部リンク

沖電気工業=http://www.oki.com/jp/