米シトリックス・システムズは、現地時間の5月8日~10日の3日間、米アナハイムでSIerやディストリビュータなどパートナーを集めたプライベートイベント「Citrix Synergy 2018」を開催した。企業の働き方改革を支援する統合型デジタルワークスペース「Citrix Workspace」を今夏までに提供すると発表した。(取材・文/山下彰子)

デビッド・ヘンシャル社長兼CEO
 VDIベンダーのイメージの強いシトリックスだが、仮想化のノウハウを生かし、働き方ソリューションを提供。とくに昨年から「働き方改革を支援するベンダー」というメッセージを強めた。今年のCitrix Synergyも引き続き、働き方にフォーカスした講演、そして企業の働き方改革を支援するためのサービス、ソリューションを多数リリースした。

 5月9日にはデビッド・ヘンシャル社長兼CEOが基調講演を行い、現在の職場環境について「デジタルネイティブのミレニアム世代の若者がどんどん増え、オフィスで働く人とモバイルワーカーの人口が同じぐらいになってきた。人だけではなくIT環境も変わり、デジタルトランスフォーメーションが進み、ユーザーが保有するデバイスが増大し、クラウドの利用が増え、インフラのモダナイズ化が進んでいる。それによって管理が複雑になり、管理コストが増加してしまった」と話した。こうした働く環境の変化のなかでユーザーはより生産性を高めるため、仕事のやり方を変えていく必要がある、とした。

 働き方や働く環境が変化するなか、従業員の生産性を確保できる新たな働く場所としてシトリックスが提供するのが「Citrix Workspace」だ。クラウド上のワークスペースにウェブやアプリケーション、SaaS、ファイル、データなどを統合管理し、ワークスペースにアクセスすることで、あらゆる場所、デバイスでも同じように作業をすることができる。また、シトリックスの新たな取り組みとして「Citrix Workspace」に統合したアプリケーションやSaaS、ファイル、データなどのログを収集し、Citrix Analyticsで分析し、ユーザーのふるまいを学習させる。この分析、学習結果をまずセキュリティに生かすという。

 具体的には、ユーザーの行動、システムセキュリティ、パフォーマンス、オペレーションなどを可視化し、AIを使って異常行動や潜在的な脅威を検知する。例えば、大量のファイルをダウンロードする、海外からアクセスするなど、ふだんのふるまいと異なる行動を行った時、IT管理者にアラートを出したり、その端末からのアクセスを禁止することができる。

 同社は以前からカスタマサービスの一環として、仮想化アプリケーションの遅延の原因を追究するため、サーバーやディスク、ネットワーク、ユーザーのデバイスなどの機器、端末の情報を収集し、分析してきた。これによりデータを収集するノウハウ、異常を検出するためのルールなどの知見を蓄積してきた。これを生かしたのが今回のセキュリティだ。

 今年の「Citrix Synergy」ではCitrix WorkspaceとCitrix Analyticsを使ったセキュリティを発表したが、今後はこの二つのテクノロジーを使ってセキュリティ以外のサービスを提供する予定だ。

Citrix Workspace×Citrix Analytics
どのような働き方ソリューションを生み出すか



 Citrix WorkspaceとCitrix Analyticsを使って、今後どのような働き方ソリューションが生まれるか、また日本市場ではどのように展開していくか。米シトリックス・システムズのカルヴィン・シュー・プロダクトマーケティング バイスプレジデントとシトリックス・システムズ・ジャパンの青葉雅和代表取締役社長に聞いた。

――Citrix WorkspaceとCitrix Analyticsをセキュリティに活用していますが、開発の経緯を教えてください。

 
カルヴィン・シュー・
プロダクトマーケティング
バイスプレジデント
シュー 今、セキュリティ上の脅威が高まっています。しかも攻撃する側はAIやマシンラーニングを使って攻撃しています。攻撃は非常に巧妙になっており、攻撃から数か月後に気がついた、という事例もあります。そうした攻撃に対応するには、守る側もアナリティクスを使わなくては対応できません。

――提供開始はいつぐらいになりますか?

青葉 今夏にはグローバルで提供を開始する予定です。もちろん、日本でも提供します。すでにパートナーと共同で評価を開始しており、年内にはパートナーと一緒にソリューションを提供する予定です。

――Citrix WorkspaceとCitrix Analyticsの組み合わせですが、セキュリティ以外にも活用できそうですね。

シュー お客様にとって一番わかりやすいところ、としてまずはセキュリティを提供しますが、その次にはパフォーマンスの最適化、つまりサーバーやネットワークのパフォーマンスを分析するカスタマサービスとして提供する予定です。その次は生産性の最適化を考えています。ユーザーのふるまいを学習して、仕事の効率化、合理化に役立てようと考えています。

 
青葉雅和
代表取締役社長
青葉 例えばユーザーごとの仕事のフローを学習し、次の作業を予測して必要なアプリケーションを立ち上げたり、必要なデータを表示したりします。これで必要なアプリやデータを探す時間が短縮できます。

シュー このほか、Workspaceにメッセージや指示を表示させることで、ユーザーの仕事に対する理解度を高めることができると思います。アプリケーションの起動の仕方や使い方だけではなく、ほかのユーザーが同じ作業をするときどんなアプリケーションを使っているか、どんな使い方をしているか、情報を提供します。これによって社員教育にも活用できます。今、企業は社員教育に多大な投資をしています。Workspaceが進化することで、ユーザーを教育するプラットフォームにもなり得ると考えています。