富士ゼロックス(玉井光一社長)が、2018年度の成長事業の一つとして、顧客のスマートワーク支援に取り組んでいる。3月には新たな価値提供戦略として「Smart Work Innovation」を策定。AIやIoTを活用して顧客の業務効率を改善するサービスを提供する方針を打ち出した。この戦略を中心に取り組むのが、4月1日に新設したスマートワークイノベーション事業本部だ。

Document AIを使った働き方改革支援


 このスマートワークイノベーション事業本部の早田宏・SWIオファリング統括 統括長は「複合機ビジネスを通じ、ドキュメントによるコミュニケーション支援を行っている。それに加えドキュメントに記載された情報をAIを使って解析、活用し、顧客の課題解決を行う取り組みも以前から行ってきた」と、ドキュメントに関する知見の蓄積があることを強調した。

 5月にはドキュメントに記載された情報の解析・活用ができる独自AI「Document AI」技術を採用したサービスとして、「高精度データエントリーサービス」「図面情報抽出サービス」「専門知識体系化サービス」の提供を開始した。

 高精度データエントリーサービスは、帳票などの手書き情報を高精度に認識し、デジタル処理に適した形式に変換する。金融機関との実証実験では、手書き文字が書き込まれた申込書からのデータ入力の生産性を2倍以上高めた。

 図面情報抽出サービスは、レイアウト解析と文字認識技術により、製造業や設備・建設業などの図面中に記載された文字情報から、指定した文字列を抽出する。設備の保守点検などの際に書かれた部材番号や部品などの情報を自動的に抽出し、交換部材リストとの照合作業などを支援する。

 専門知識体系化サービスは、複数の文書中の語句の関連性を、独自の自然言語処理技術で抽出して体系化することで、従来は専門職の知識や経験に依存していた情報の関連性の発見を誰でも可能にする。同サービスを利用することで、対象となる法律に関連する商品や情報を迅速に検出し、法改正への対応業務を抜本的に改善できるという。
 
左から
田中圭・スマートワークイノベーション事業本部
SWIオファリング統括 SWI企画開発部 部長
早田宏・スマートワークイノベーション事業本部
SWIオファリング統括 統括長

 働き方改革として、残業時間を短縮する制度を導入する企業は多い。早田統括長は「働き方改革の本質は、作業時間の短縮ではなく、生産性の向上だ。生産性を阻害するさまざまな要因を一つずつ解決していかなくてはいけない。そのためのサービスを提供する」と話す。

 同社は今回提供を開始した三つのサービスで、3年間で450契約を目指す。さらに近日中に新たに「クラウドセキュリティーサービス」「行動分析最適化サービス」の二つを追加する予定だ。今後も順次サービス、ソリューションを追加し、20年度までに1000億円の売り上げを目指す。(山下彰子)