豆蔵ホールディングス(豆蔵HD)は、ハードウェアが絡む領域の研究開発に力を入れる。IoTや車載、産業用のシステム事業を伸ばしていくにあたり、「ハードウェアも含めたシステム構築能力がより強く求められるようになった」(佐藤浩二社長)ことが理由だ。具体的には、産業用ロボットを使った生産ラインの開発や、輸送機器向けの電子制御ユニット(ECU)、業務用自動車のリース会社向けに特化したドライブレコーダーの実装など、ハードウェアを絡めたシステム構築を重点的に強化していく。

佐藤浩二
社長
 豆蔵HDグループは、組み込みソフトに強いSIer。これまでもハードやソフト開発の生産性を飛躍的に高めるCAE(コンピュータ支援エンジニアリング)や、モデルベース開発の研究開発に取り組んできた。例えば、7軸駆動の産業用ロボットを自社で試作した際も、CAEやモデルベース開発の手法を適用することで、開発期間の大幅短縮とコスト削減を実現している。組み込みソフトの開発だけでは実現できなかったハードウェアを含めたシステム開発につなげている。

 ほかにも、SCSKなどと共同で自動車向け車載OS規格「AUTOSAR(オートザー)」をベースとしたソフトウェア製品「QINeS BSW(クインズビーエスダブリュー)」を開発。今年に入って自動車部品メーカーからの採用が相次ぎ、事業が軌道に乗り始めている。こうした取り組みを通じて培った車載システム技術を、船舶や自動倉庫などで動く搬送ロボットといった輸送機械全般に応用していく。

 工場の生産ラインにIoTを導入するプロジェクトでも、古い規格の生産機器が多く残っているケースがある。この場合、「ハードウェアから見直しをかけていったほうがIoTをスムーズに構築できることもある」(佐藤社長)と、IoT領域でもハードウェアの技術力を求められることが増えている。
 
豆蔵HDグループが自社で試作した産業用ロボットの一例

 佐藤社長は、「ユーザー企業のニーズに総合的に応えていくためには、ハードとソフトを統合していくSI手法が欠かせない」とみる。ハードウェアと制御用の組み込みソフト、アプリケーションを一体的に企画・提案し、システムを構築。その後の運用管理から次のバージョンアップまでのライフサイクル全般を請け負う能力を一段と高める。

 豆蔵HDは、8期連続で増益を達成してきたが、今年度(2019年3月期)の経常利益については、前年度比12.7%減の20億円と減益見通しを示している。減益分は主にハードウェア開発を含めたIoTや車載、産業用のシステム事業領域の研究開発に費やす。一時的に減益となったとしても、「技術的優位をより早く確保していく必要がある」としている。(安藤章司)