NTTデータとNTTデータ経営研究所は、脳科学を活用したマーケティング分野で、リクルートコミュニケーションズと協業する。3社は協業してテレビ広告の効果予測「NORCS(ノークス)」を開発。脳科学とAI(人工知能)を組み合わせることで、「精度の高いテレビ広告の効果予測が可能になる」(NTTデータの矢野亮・デジタルソリューション統括部部長)という。この7月からリクルートグループのテレビ広告の制作に一部適用し、有効性の検証を行っていく。

NTTデータの矢野亮部長
 NTTデータグループが取り組む脳科学は、体の断層画像を撮影するMRIの一種「fMRI」を使い、脳の活動状況をモニターする。fMRIの被験者に「楽しい映像」「悲しい映像」「走っている映像」など膨大な画像素材を見てもらって、その人の脳がどのように反応したかを計測。脳の動きと言葉を結びつけたデータをもとに、人工的な“脳”の認知モデルをコンピューター上につくり出す仕組みだ。ここ数年来、産学連携などを通じて研究開発を進めてきた。

 この“人工脳モデル”にテレビ広告を“見せる”ことで、人がどのように感じるかを事前にシミュレーションできる。30秒の映像であるならば、秒単位で「楽しい→先進的→驚いた→共感した」といった感じ方の変化の推移まで導き出せる。
 
NTTデータ経営研究所
茨木拓也シニアマネージャー

 今回のリクルートコミュニケーションズとの協業では、同社がもつテレビ広告の広告効果を予測するノウハウと、NTTデータグループの脳科学の知見を連携させることで、「効果予測の精度を一段と高めていく」(NTTデータ経営研究所の茨木拓也ニューロイノベーションユニットシニアマネージャー)ことを目指す。

 また、「NORCS」とは別に、NTTデータグループでは、脳科学の技術を用いて動画広告の解析や評価を行う独自の「DONUTs(ドーナツ)」サービスを始めている。同サービスでは、今後、年齢や性別といった属性によって感じ方が異なる部分、あるいは意外な共通性を見出せるようにする。例えば10代少女、20代女性、50代男性といった「属性にもとづく感じ方の違いをより細かくシュミレーションできるようにしていく」(矢野部長)ことを検討している。

 「DONUTs」をクラウド上で公開し、さまざまな人に実験的に使ってもらいやすくする予定。こうした取り組みによって市場を開拓し、向こう5年で100億円規模の事業に育てていく。(安藤章司)