倉庫業界では作業員不足や過酷な労働環境が問題となっているが、先進的な技術でこれを解消しようとする仕組みが各社から提案されている。米国では10月、物流受託大手のXPOロジスティクスがロボット5000台を導入して、倉庫内でのピッキング作業の大部分を自動化すると発表した。このロボットを開発したAIベンチャー・GreyOrange(本社:シンガポール)は、国内でニトリグループの倉庫に同種のシステムを納入しており、“物流危機”の深刻化が指摘される日本市場においても倉庫自動化ソリューションの販売拡大を目指している。

物流拠点への導入イメージ

 ピッキング業務のロボット化は古くから提案されているものだが、GreyOrangeでアジア太平洋・日本市場の責任者を務めるナリン・アドバニ氏は、「当社は『ソフトウェアファースト』のロボット会社であり、AIによる課題解決に注力している」ことが従来と大きく異なる部分だと強調する。

 商品の注文が入ると、同社のロボットは目的の商品が保管されている棚の下に入り込み、商品を棚ごとピッキング担当者の場所まで搬送する。通常の倉庫では、ピッキング作業者は1日の業務で倉庫内を延べ10km以上歩行することも少なくないというが、ロボットの導入によって作業者の歩行がほぼ不要となるほか、商品を取り違えるミスも削減できる。

 倉庫内でのロボットの走行ルートは機械学習によって常時改善されるほか、複数台のロボットが協調することで「1台が手前にある棚をどけて、もう1台が奥の棚を取り出す」といった動作も可能。また、よく売れる商品がある棚を倉庫入り口近くに移動するなど、倉庫内の商品配置を自動的に最適化する機能も備えており、受注から出荷までのリードタイムを短縮できる。

 日本国内では、物流向けのシステム開発を手掛けるGROUND(宮田啓友社長)をパートナーに展開しており、ニトリ以外にも複数の導入実績があるという。他社の倉庫管理システム(WMS)ともAPI連携が可能で、既存システムを活用しながら倉庫業務の効率化を図ることができるとしている。(日高 彰)