富士通は3月28日、時田隆仁執行役員常務が社長に昇格する役員人事を発表した。田中達也社長は代表権のない取締役会長に退く。6月24日に開催する定時株主総会の決議を経て正式に就任する。

新社長に指名された時田隆仁常務(右)と、田中達也現社長

 時田常務は1962年生まれの東京都出身で現在56歳。88年に富士通へ入社し、SEとして大手保険会社の基幹業務システムなどを担当。2005年からは金融向けのSI事業を統括し、メガバンクの勘定系システムで複数の大型プロジェクトを主導した。14年の金融システム事業本部長、15年の執行役員就任を経て、17年からは海外でシステム開発・運用、業務代行などのサービスを提供するグローバルデリバリーグループを担当、英ロンドンでの赴任経験をもつ。今年1月に執行役員常務へ昇格し、グローバルデリバリーグループ長を務めていた。

 15年6月の就任から任期4年で交代となった田中社長は、「テクノロジーソリューション事業への集中では成果を上げることができた」と話し、製品販売ではなくシステム構築などのサービス提供を事業の中核に据える方向性はしっかりと示すことができたとしながらも、かねて目標としてきた「営業利益率10%」の実現に至っていない原因を「富士通がもつ人材・経験・技術などのリソースを統合し、グローバルで戦えるステージにまで引き上げることができなかった」と説明。変革のスピードについては不十分だったと振り返る。また、「思いもよらない競合やスタートアップ企業が強くなっている」とも述べ、IT市場における有力プレイヤーの顔ぶれが、想像していたよりも急速な勢いで入れ替わろうとしている、との見方を示した。

 新社長に指名された時田常務は、「私が現場に出ていた頃は、メインフレームが富士通製、OS・ミドルウェアも富士通製で、全部富士通で実現できることがお客様にとって一番いいこと、という時代だった。今お客様が求めているものは、自前よりもスピードかもしれない。ニーズに応えるために外の力を使わなければいけない」と話すとともに、「収益構造を変えていく中で、デジタル変革は避けて通れない領域」と指摘。製品からサービスへの転換と、急速な市場の変化への対応のために、自前主義からの脱却をさらに進める必要があるとした。

 また、収益性の改善に加えて世界のIT市場で存在感を高めるためにも、グローバル事業の改善が最重要課題の一つであるとする考えを強調。「デジタルの時代に一番必要なのは、業種に対する知識や、ビジネスモデルや業務フローをいかに変えていくかというノウハウ。日本市場のフィールドSEは、お客様とともにそのようなことに取り組んできたが、グローバルではサービスとして十分提供できていない」と述べ、グローバルデリバリー拠点のスキルを充実させることで、海外でもPCやサーバーの販売・保守から、付加価値の高いSIサービスへの転換を急ぐ考えを示した。