鈴与シンワート(池田裕一社長)は、人事労務関連のSaaS商材を拡充している。主力の電子給与明細と電子年末調整のサービスに加えて、この4月に電子化が解禁された「労働条件通知書」サービスもスタートさせる。また、電子給与明細のシステムを応用した安否確認も検討中で、早ければ今年度中のサービス化を視野に入れる。

 労働条件通知書は、労働条件などを記載した書類で、企業が従業員を雇用するときは法律で作成が義務づけられている。小売業や飲食業といったアルバイト・パート比率が高い業種は、人の入れ替わり頻度が高いため労働条件通知書もそれだけ頻繁にやりとりすることになる。電子化が認められたことで、「本部から離れた店舗に勤める従業員にも低コストかつ迅速に届けられることから、潜在的なニーズは大きい」(長谷川信光・ソリューションカンパニービジネス・プロセス・サービス事業部長)と見ている。
 
長谷川信光
事業部長

 一方、早い段階でSaaS化している電子給与明細は、従業員数ベースですでに15万人を突破するヒット商材となっている。モバイル機器の発達で、どこでも仕事ができる環境が整ったり、一連の働き方改革の進展が追い風となった。「出先や在宅で仕事をする従業員に、タイムリーに給与明細を届けるには電子化が手っ取り早い」(濵田健実・ビジネス・プロセス・サービス事業部HCMセールスマネージャー)と、紙の給与明細を廃止して、電子化する企業が増えている。

 その電子給与明細サービスで検討されているのが、災害時の安否確認への応用である。同サービスには、アンケート機能や既読機能が備わっており、企業と従業員が双方に通信できる。災害発生時に従業員が手持ちのスマートフォンで給与明細サービスに接続し、そこから安否を会社に報告。あるいは企業側から安否返答を要求するメッセージを送り、「既読」にならない従業員を把握するなどの使い方を想定している。

 安否確認は災害時の事業継続で重要な役割を果たすが、平時に使う機会は少ない。給与明細サービスに付随する形であれば、「普段使っているシステムで万が一に備えることができる」(長谷川事業部長)と話す。

 同社はまた、「S-PAYCIAL(エス・ペイシャル)」のサービスブランド名で、人事給与関連のBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービスを展開している。今回、このBPOサービスを補完する形でSaaS商材を投入。電子給与明細サービスは、従業員一人当たり30円からとコストを抑えた。従業員100人のモデルケースで年間50万円以上かかっていたコストを、電子化によって5万円以下に抑えられると鈴与シンワートでは試算している。

 同社は、SaaS商材の間接販売チャネルに注力しており、直近ではSIerや社会保険労務士事務所などのビジネスパートナー経由での販売が約6割を占めるまで拡大。また、BPO関連サービスはここ数年、年率平均で10%程度の高成長を維持。そこにSaaS商材を拡充していくことで、一段とビジネスを伸ばしていく方針だ。(安藤章司)