イスラエル発のスタートアップで、工場などのOT(Operational Technology)ネットワーク向けセキュリティソリューションを提供するSCADAfence(スキャダフェンス)は、この春から日本での事業展開を本格化させている。日本語版サービスの提供を開始し、パートナーと共に国内ビジネスの拡大に取り組む。

 スキャダフェンスは2014年にイスラエル軍のセキュリティ部隊出身者2人によって設立。産業制御システムやビル管理システムなどOTネットワーク向けのセキュリティソリューション「SCADAfenceプラットフォーム」を提供し、ドイツなど欧州を中心に事業を展開している。

 SCADAfenceプラットフォームは、DPI(Deep Packet Inspection)と呼ばれる技術を使い、ネットワークを流れる通信を解析する。特徴は、独自プロトコルを用いた制御システムの解析ができる点にある。これにより、OTネットワーク上にある機器や設備などの資産リストやネットワークの構成図を自動的に作成することが可能。また、機械学習で監視対象の機器の正常な振る舞いを学習し、設備の誤作動や構成変更などが発生した際にはアラートを上げて管理者に通知することができる。さらに、フォーティネットやチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズなど他社のファイアウォールと連携して、サイバー攻撃を検知した場合にブロックすることができる。
 
垣貫己代治
カントリーマネージャー

 導入に当たっては、ネットワークに設置されているスイッチのミラーポートからデータを収集・解析する仕組みのため、既存設備や生産活動には影響を与えずに導入できるという。国内事業責任者を務める垣貫己代治カントリーマネージャーは、「(近年の)ITとOTをつなぐ流れの中で、OT側の設備の状況を可視化したいという要望が多い」といい、引き合いが増えていると話す。

 スキャダフェンスの日本拠点は18年9月に設立。市場調査やパートナー開拓、製品の日本語対応を進め、4月に日本語版SCADAfenceプラットフォームを正式リリースした。パートナー経由で提供し、現在、販売・導入支援パートナーとしてNRIセキュアテクノロジーズと協業している。今後も、セキュリティコンサルティング企業や、製造業向けに業務アプリケーションなどを提供するSIer、OTネットワークを手掛けるNIerなどと連携していく方針。

 従来外部ネットワークとは隔離されていた工場などのOT環境だが、近年は製造業の競争力強化を目指し、ITとOTを融合する動きが加速している。垣貫氏はOT分野でのセキュリティ市場について、「間違いなく今後数年間で非常に大きなマーケットになってくるだろう。それまでにどれだけのノウハウを蓄積できるかが大きなポイントになる」と話し、パートナーと連携して製品展開を進め、日本市場で存在感を高めることに期待を示している。(前田幸慧)