KDDI総合研究所(中島康之所長)、KDDI(髙橋誠社長)、静岡県の常葉大学(江藤秀一学長)、国土緑化推進機構(佐々木毅理事長)は、鳥獣による森林被害軽減のため、IoTを活用した森林管理効率化の実証実験を8月に開始した。


 鳥獣による森林への被害は林業に深刻な影響を与えている。中でも静岡県内の植林地域では、シカによる植林の食害被害が増加。防鹿柵による侵入防止など対策を講じているものの、防鹿柵はシカなど動物による衝突や倒木などにより破損することがある。そのため、防鹿柵の破損を発見し迅速に修復作業を行えるように、定期的な見回りが必要となっている。

 防鹿柵監視業務の負荷を削減するためカメラによる遠隔監視を実施しているところもあるが、防鹿柵は広大な植林地域に設置されており、柵全体の監視には多数のカメラの設置が必要で、機器費用、通信費用などの面で課題がある。

 こうした課題を解決するため、広範囲に設置した防鹿柵を低コストで遠隔監視する手法の確立に取り組む。具体的には、防鹿柵に振動検知センサーデバイスを設置。このセンサーから送信される揺れデータをアグリゲーターで集約し、LTE通信によりデータをクラウド上のサーバーに送信する。
 
実証実験の概要

 植林地域は電力会社からの商用電源が届けられていないエリアであることから、振動検知センサーデバイスは省電力回路を採用しボタン電池を搭載。電池消費量を削減するため、振動を検知したときにのみ無線通信モジュールを稼働し、約13秒間分で揺れデータを送信する。このほかのセンサーネットワークを構成する装置はソーラー発電で動作するようにする。

 今回実証実験を行う植林地域は携帯電話などのモバイル通信の通信エリア外であることから、まずは、収集した揺れデータをクラウドに送信するためのセンサーネットワークを構築する。

 今後、実証実験を通じて取得した揺れデータを検証し、振動原因の推定精度の改善を継続していくとともに、アラーム発報など実監視業務への適用性を検証していく。