東北電力は、山間部や浸水、土砂崩れなどの立ち入りが困難な箇所では徒歩やヘリコプターに加え、ドローンを活用した設備被害状況の把握に取り組んでいる。今回、ドローンの先進的な活用の一環として送電設備の保守点検業務の安全性向上や効率化を目的に、NECが今年開発した「ドローン用送電線自動追尾撮影ソフトウェア」を活用し、送電線をドローンで自動追尾点検する手法を試行導入することにした。

ドローンによる「送電線自動追尾点検」のイメージ

 点検手法は、「ドローン用送電線自動追尾撮影ソフトウェア」をインストールしたドローン地上装置に入力された飛行経路をもとにドローンが自律飛行し、送電線を自動で検知し、動画を撮影するもの。東北電力とNECが、福島県の南相馬市と浪江町の協力のもと、今年7~8月に実証実験を実施し、点検手法の有効性を確認。今回、試行導入することにした。

 従来の送電線点検では、作業員が送電鉄塔に昇り、送電線や避雷用の電線である架空地線に微小な雷撃痕や素線切れなどの異常の有無を目視で点検する。この場合、高所作業に関する十分な安全対策や点検箇所の停電が必要となるなど、多くの労力と時間が必要になる。
 
ドローンを活用した点検作業

 ドローンを活用した点検の場合は、風などにより揺れてしまう送電線と適切な離隔距離を確保しながら鉄塔間を飛行・撮影するため、同距離を測るセンサーなどが必要となる。センサーを搭載すると搭載機器の重量により、長時間の運航が難しくなるなど課題があった。

 これらを踏まえ、NECが開発したソフトを活用することで、簡単な操作でドローンを送電線などと適切な離隔距離を確保しながら安定的に自律飛行させることができる。さらに、ドローンに搭載したカメラで送電線などを自動検知し、鮮明に撮影できる。また、このソフトを活用したドローンを使用することで、離隔距離を測るセンサーが不要になるので、搭載機器を軽量化でき、長時間の運航も可能になる。

 東北電力は、試行導入の検証を進めながら、2019年度末を目標に送電設備の保守点検業務にドローンの本格導入を検討していく。