富士通エフ・アイ・ピー(富士通FIP、貴田武実社長)はLGWAN連携基盤サービスの拡販を強化している。自社商材を自治体向けにも提供したいという意向を持つISV、SaaSベンダーなどを主な対象として、LGWANを介したサービス提供のハードルを下げるサービスとして認知度を高めたい考えだ。高麗安紀子・サービスビジネス推進統括部パブリックサービス推進部マネージャーは「潜在的な市場は大きいと見ており、当社サービスの価値を市場に積極的にアピールしていきたい」と話す。

 LGWANは地方自治体を相互に接続する行政専用のクローズドネットワーク。自治体の業務システムはLGWAN経由での利用が推奨されているが、総務省が主導した「自治体情報システム強靭性向上モデル」により、LGWAN接続系とインターネット接続系ネットワークの分離が求められるようになった。結果として、自治体側からもLGWAN経由で利用できるITソリューションの充実を求める声は高まっており、実際に、そうしたサービスはITインフラからアプリケーションまでさまざまなレイヤーで拡大している。アプリケーション/コンテンツサービスに限っても、グループウェアや文書管理、電子申請などを中心に1000件以上のサービスが「LGWAN-ASPサービス」として登録されている。

 しかし、LGWAN-ASPサービスとして登録されるまでには、LGWANの運営主体である地方公共団体情報システム機構(J-LIS)の厳格な審査を受けなければならず、これがアプリケーションベンダー側にとっては自治体向け市場に踏み出す大きなハードルになっていたのも事実だ。富士通FIPのLGWAN連携基盤サービスは、まさにそうした課題に対するソリューションとして生まれた。
 
高麗安紀子 マネージャー

 具体的なサービスとしては大きく二つのラインアップがある。LGWAN専用のIaaS環境を提供する「LGWAN-ASP基盤サービス」と、既にSaaSとしてアプリケーションを提供しているベンダーに対して既存のSaaS環境とLGWAN網をつなぐ中継機能を提供する「アプリケーションゲートウェイサービス」だ。クラウドシフトが進んでいるアプリケーションベンダーであれば、後者のほうが導入・運用のコスト、負荷ともより低く抑えられるが、いずれも「導入前の準備からLGWAN-ASPサービスとしての登録手続きまで含めてトータルでしっかりサポートしていく」(高麗マネージャー)のが同社サービスの強みだ。

 アプリケーションゲートウェイサービスについては、従来、Webブラウザ経由でサービス提供しているSaaSにしか対応していなかったが、6月の機能拡充でクライアントアプリやOTR、プリンタなどと通信するアプリケーションまで利用範囲を拡大し、より汎用性の高いサービスとしてブラッシュアップしている。
 
中浩文 シニアエキスパート

 同社パブリックサービス事業部第一パブリックシステム部の中浩文・シニアエキスパートは、「民需中心のビジネスをしているアプリケーションベンダーは、LGWANの存在を知らないことも多い。当社としても自治体のニッチな業務を細かく把握できているわけではなく、LGWAN連携基盤サービスをさまざまなアプリケーションベンダーに広く活用していただくことで、自治体の業務効率化やデジタルトランスフォーメーションを支援できるエコシステムを構築していきたい」と意気込む。富士通本体との連携も視野に、LGWAN連携基盤サービスの認知度向上と活用事例の拡大に取り組む。(本多和幸)