日本オラクルはクラウドビジネスの推進に向け、パートナーへのリスキリングを推進するなど、エコシステムの強化を図っている。基幹システムのクラウド移行サービスを拡大するため、2021年9月には「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)と「Oracle Database」に関する学習プログラムの無償提供を開始し、無償化前と比べ、利用する企業数が5倍増となった。「Fusion Cloud ERP」をはじめとするSaaSも好調で、パートナーの増強も並行して取り組む。アライアンス統括の佐野守計・常務執行役員は「クラウドでは、われわれはチャレンジャー。『パートナーファースト』を掲げ、エコシステムをしっかりとつくり上げていきたい」と強調する。
佐野守計 常務
同社は21年7月、基幹システムのクラウド化をサポートする「Oracle Cloud Lift Services」の国内提供を開始した。OCIを導入する際のケーススタディやPoCの支援などを行う内容で、現時点では、同社が抱えるエンジニアが中心となってサービスを提供しているが、パートナーにも案件初期段階から参画してもらい、ノウハウや知見を積極的に譲渡している。最終的にはパートナーが単独でもサービスを提供できるレベルにまで引き上げる考えだ。
加えて、スキルをより効果的に習得してもらうため、学習プログラムの無償化を展開し、オンプレミス製品のスキルを有するエンジニアが、知識をアップデートする機会を提供する。
クラウド移行へのニーズは、同社の強みであるミッションクリティカル領域を中心に今後も継続的に続くとし、特にオンプレミスのオラクル製品を使う企業からの引き合いがさらに強まると想定する。佐野常務は「他のクラウドベンダーと比べ、クラウドネイティブのパートナーが足りない」との認識を示し、拡大に努めるとした。
SaaSビジネスをめぐっては、ERPを筆頭にグローバル、日本国内ともに案件数を積み上げている。日本オラクルは21年6月、クラウド・アプリケーション事業統括内にエコシステム推進室を設置し、パートナー開拓や教育、ユーザー企業のマッチングに取り組んでおり、協業も活発化している。また、Oracle Databaseを利用するISVに対し、アプリケーション製品のクラウド化支援にも力を入れる方針だ。
(藤岡 堯)