リコーはサイボウズと業務提携し、リコー版のkintone(仮称)を2022年10月から国内外で順次販売する。リコー版kintoneは、リコー独自のクラウド基盤「RICOH Smart Integration(RSI)」の上で動作させ、同社の文書管理ソフト「DocuWare(ドキュウェア)」などの強みとするドキュメント領域とのデータ連携をしやすくする。まずは国内で販売をスタート。年内に北米で販売を始めるとともに、欧州でも向こう1年以内に試験的に販売する予定だ。
リコーの山下良則社長(左)とサイボウズの青野慶久社長
OA機器メーカーからデジタルサービス会社へ変革を急ぐリコーは、同社ならではのIT商材の拡充を進めている。今回のリコー版kintoneもその一環としてサイボウズと共同で開発する。サイボウズにとってはリコーの販売チャネルを活用して北米や欧州市場でのビジネス拡大が期待できる。
リコーの山下良則社長は「北米では事業所数ベースで30万社余りの顧客を持っており、市場は十分にある」と自信を見せる。サイボウズの青野慶久社長は「リコーの顧客先にサイボウズの社員も同行して課題を聞き込んでいく」と、現場レベルで協業を深めることで、kintoneの課題解決能力を高めていく。リコーの海外での顧客分布は北米5割、欧州4割で、サイボウズは今回のリコーとの提携をきっかけに、十分に進出できていない欧州市場の本格的な開拓につなげる。
リコー版のkintone(仮称)の位置づけ
リコーは19年にドイツのDocuWare、今年に入ってスイスの業務プロセス自動化のAxon Ivy(アクソン・アイビー)をグループに迎え入れている。Axon Ivyが展開する製品は、従業員数500人超の中堅から大手企業向けに適していることから、今回のリコー版kintoneは中小企業向けの業務プロセス効率化に役立てる。kintoneとDocuWareを連携させることで、例えば契約業務で社内の承認フローをkintoneで行い、契約書の保存管理をDocuWareが担うといった仕組みをリコーのRSI基盤上に構築することを想定する。
業務プロセス自動化やドキュメントの事業領域で、リコーは25年度に国内外で500億円規模のビジネス創出を目指しており、うち今回のリコー版のkintoneで100億円程度の売り上げを達成する考え。(安藤章司)