リコージャパンは、中小企業向けの業務パッケージ「スクラムパッケージ」の2022年度(22年4月~23年3月)の販売本数が、21年度を超える勢いで推移していることを明らかにした。この秋にはリコーブランド版のサイボウズ「kintone」の投入を予定しており、スクラムパッケージとの連携を加速。ローコード開発やワークフロー機能の強化が期待されている。21年度のスクラムパッケージの販売本数は20年度比15%増の約7万7000本で、22年度は10万本を視野に入れる。
スクラムパッケージは建設業や製造業、流通業など9業種を主な販売ターゲットと位置付け、これに情報セキュリティやリモートワークなどの働き方改革、共通バックオフィス業務の共通業務のパッケージを加えた計154パックを揃える。顧客需要を見極めながら随時改良や入れ替え、追加を実施しており、21年度までに累計21万7000本を販売。リコージャパンは「従来の複合機の販売を中心とした事業形態からデジタルサービス会社に転換する」(木村和広社長)方針を示しており、スクラムパッケージの販売増はデジタルサービス事業への転換を象徴するビジネスに育っている。
木村和広 社長
一方、スクラムパッケージの販売金額で見ると、21年度は484億円で20年度から7%増えたものの、前期比増加率でみると、20年度の54%を大きく下回った。これはスクラムパッケージが複合機などのデバイスを組み合わせてパッケージ化しているケースが多く、半導体不足の影響でデバイスが思うように供給できなかったことが背景にある。「半導体を巡るサプライチェーンが正常化すれば、スクラムパッケージの伸びと連動するかたちで金額ベースでの伸びも回復できる見込み」(明泰治・取締役常務執行役員)。
また、中堅企業向けにカスタマイズ可能な「スクラムアセット」の21年度の販売本数は20年度比1.6倍の4200本余り、金額ベースでは55%増と好調。スクラムアセットは製造業と流通業を主な業種ターゲットとし、スクラムパッケージ同様にリコー版kintoneとの連携を強化していく。
デバイス関連では、業務用スキャナに強みを持つPFUがグループに加わる予定で、スクラムパッケージやアセットと連携による販売増が見込める。
昨年度のリコージャパン全体の売上構成比は、複合機やプリントなどオフィスプリンティング事業が44%、スクラムシリーズをはじめとするオフィスサービス事業が47%を占めた。木村社長は「オフィスサービス事業の伸びに勢いがあることから、将来的に過半数を超える見通し」と手応えを感じている。
(安藤章司)