ナイスジャパンは8月4日、コンタクトセンターのCX(顧客体験)に関する調査結果を発表した。AIチャットボットや問い合わせフォームなどのデジタルチャネルで問い合わせをする消費者が増えたものの、企業の7割がチャネル拡充をしておらず、消費者の認識と企業の対応の間にギャップがあることが浮き彫りになった。
安藤竜一社長
調査結果によると、新型コロナウィルスの感染拡大を機に、デジタルチャネルでの問い合わせが増えたと答えた消費者は、若年層が40%、中年層が43%となった。一方、問い合わせチャネルを拡充した企業の割合は、大企業が31%、中小企業が19.3%にとどまった。
今後、電話による対応を減らし、デジタルチャネルへ切り替える予定があるとした企業は、大企業が59%だったのに対し、中小企業は34.7%となり、企業の規模で差があることが判明した。
チャネル別の課題解決度合いでは、電話が82.1%と最も高く、メールが64.7%、WEB問い合わせフォームが61.1%、チャットが54.5%と続いた。AIチャットボットは32.1%で、半数程度が「解決しないことが多い」と回答した。
同社の安藤竜一社長は「サポート対応の良し悪しは、サービスの継続的な利用や購買意欲に関わっている。そうしたことを捉えて、デジタルチャネルへ投資したり、シフトしたりする企業が増えればと思っている」と語った。
さらに「AIチャットボットを導入する企業が増えていることは事実だが、タイムリーな情報や、企業が集約しているFAQ、ナレッジなどの反映がおろそかになり、顧客満足度が向上していないことが顕著になった」と指摘した。
調査は昨年に続き2回目。今回は5月10日~同17日、1日に2件以上の問い合わせがあるコンタクトセンターを管理・運営する企業と官公庁(いずれも従業員数50人以上)に加え、過去1年以内にコンタクトセンターに問い合わせた経験がある消費者を対象に、インターネットアンケート方式で実施。各250のサンプルを分析した。(大畑直悠)