アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は10月27日、スタートアップコミュニティ拡大に関する記者説明会を開催した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で閉鎖していた同社の拠点「AWS Startup Loft Tokyo」(東京)について、約2年半ぶりとなる11月1日に再開すると発表した。業界特化支援プログラムのアップデートについても紹介した。
AWS Startup Loft Tokyoが11月1日に営業再開
同社の長崎忠雄社長は「スタートアップ企業に必要なのは、進むべき道筋を示すコンパスとイノベーションを起こす上で最も重要なスピード。AWS Startup Loft Tokyoは、この二つの要素を集約した施設だ」とコメント。「今年に入って再開のタイミングを検討していたが、利用者の声にも押され、晴れて再開が決まった。AWS Startup Loft Tokyoを通したスタートアップ支援で、日本の経済に寄与していきたい」と改めて決意を示した。
長崎忠雄社長
同施設では、再開に合わせた新メニューとして、リアルイベントのハイブリッド配信やVCキャピタリストによるメンタリング、非技術の相談に対応するex-CTOメンタリング、Web3に関する技術勉強会などを実施する。基本メニューとしては、開発に集中できるコワーキングスペースの提供のほか、AWS技術エキスパートが相談を受けるAsk An Expertや、AWSやスタートアップに関するイベントなどを用意する。
今年5月に開始した公共分野の課題解決を目指す業界特化支援プログラム「AWS Startup Ramp」のアップデートも発表した。ディープテックや公共、地域を注力分野とするのに加えて、経済産業省の有識者を講師に招いた勉強会やセミナーを開催し、国との連携を深めていく。
AWS Startup Loft Tokyoは、米ニューヨークと米サンフランシスコに続いて2018年10月にオープンした。連日満席になる盛況ぶりだったが、コロナ禍の影響で20年3月に閉鎖していた。
経済産業省新規事業創造推進室の岡本英樹・室長補佐
説明会に駆けつけた経済産業省新規事業創造推進室の岡本英樹・室長補佐は「岸田政権ではスタートアップ支援に注力しているが、その大きな柱として挙げられているのが“政府調達の促進”だ。世界でも重要なイノベーション政策に位置づけられており、日本でも加速する必要がある」とし、「AWSには企業と国をつなげる仲介役としての役割を期待している」と語った。(大蔵大輔)