ジェイズ・コミュニケーションは11月に千葉市で開催された「地方自治情報化推進フェア2022」に出展し、ベンダープレゼンテーションとして、自治体におけるテレワーク導入の現状について解説した。同社のマーケティング戦略本部マーケティング推進部の古溝雅人・シニアプロダクトマネージャは「自治体のテレワーク導入に向けた取り組みは民間と比べて遅れている」とした上で、セキュリティの確保と働き方改革の両立が課題になっているとした。
古溝雅人 シニアプロダクトマネージャ
古溝・シニアプロダクトマネージャは、自治体の情報システムについて、15年に日本年金機構がサイバー攻撃を受け、個人情報を漏洩させた事件を機に、ネットワークを住基ネット、LGWAN、インターネット接続ごとに分離させることでセキュリティの強靭化を図ってきた経緯を説明。一方で「利便性よりも堅牢性が重視されたことで作業効率の低下を招き、テレワークとの親和性も低いシステムとなった」と指摘した。加えて、総務省の調査を示し、セキュリティ面での不安も課題となっているとした。
これらの課題に対し、古溝・シニアプロダクトマネージャは、SASEプラットフォームの活用を提案。SASEを利用して自治体情報セキュリティクラウドや庁内設置の業務PCをリモート操作したり、庁内PCから必要に応じてインターネット分離製品などを用いてLGWANにアクセスできるようにしたりすることで、セキュリティを確保しつつテレワークが可能になるとした。同社ではSASEプラットフォーム「Catoクラウド」、インターネット分離ソリューション「RevoWorksシリーズ」などを提供しており、自治体からの関心は徐々に高まっているという。
このほか古溝・シニアプロダクトマネージャは、「コストがかかる」「窓口業務や相談業務などがテレワークになじまない」など、技術面以外でも課題感を抱く自治体は多いとし、導入にあたっては「着手できるところから小さく始め、課題や問題を抽出・対処しつつ、規定や管理対象、対象チームを拡大していくことが重要」と訴えた。さらにテレワーク開始時の必須事項として「業務PCには従来のウイルス対策(EPP)ではなくEDRを導入し、万が一侵入された場合も原因や影響を速やかに分析・検知できるようにすべきだ」と話した。
テレワークの重要性に関しては「自然災害やパンデミックによる外出困難時にも、自宅や遠隔拠点で対策室を運営できるようにするなど、柔軟に業務を遂行可能にするために、自治体における働き方改革を進める必要がある」とし、その上で「テレワークを推進すれば、対面での業務時に気づかなかった非効率的な業務をあぶり出されることがあり、これらの問題をリスト化し自治体DXの布石にできる」と語った。
(大畑直悠)