地図情報サービスなどを手掛けるジオテクノロジーズと東京大学は2月3日、人流データ活用の共同研究を開始すると発表した。同社は徒歩や自転車などで移動することでポイントがたまるアプリ「トリマ」を提供、そこで得られた消費者の移動情報を蓄積した人流データを作成しており、東京大学がそのデータを研究する。研究成果は、自治体や企業で共有し、スマートシティや健康な街づくりの取り組みを支援する方針だ。
同社は、デジタル地図データベースやカーナビ向けの地図の提供などを行っており、そのノウハウを生かしトリマを開発。2022年11月時点で1200万ダウンロードされている。スマートフォンのGPSを活用することで、ダウンロードしている人が訪れた場所、移動ルート、属性といった情報が分かる。これらの情報を組み合わせることで、高精度な人流データを作成できるという。
ジオテクノロジーズの杉原博茂社長(左)と東京大学の柴崎亮介教授
国内のスマートシティの現状について同社の杉原博茂社長は、自動運転や従来の交通手段・サービスに、AIなどのさまざまなテクノロジーを掛け合わせたMaaS(Mobility as a Service)への取り組みが多く、人に焦点を当てた取り組みが少ないと指摘。「スマートシティの実験に、当社の人流データを取り入れることで、人々の生活と健康を守る街づくりに貢献できる」と述べた。
東京大学の空間情報科学研究センターの柴崎亮介教授は、人流データを活用することで災害時に人が滞留している場所をリアルタイムに可視化できるなど、緊急対応が必要な場面でも有効だとした。
杉原社長は、「まずは基礎研究を進め、具体的にどう社会還元していくのかを考えていく。自治体との共同研究も行う予定だ」と述べた。
(岩田晃久)